新宿区議会 > 2020-02-19 >
02月19日-02号

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  1. 新宿区議会 2020-02-19
    02月19日-02号


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    最終取得日: 2021-08-13
    令和 2年  2月 定例会(第1回)        令和2年第1回定例会会議録(第2日)第2号令和2年2月19日(水曜日)出席議員(38名)   1番   木もとひろゆき    2番   時光じゅん子   3番   三沢ひで子      4番   井下田栄一   5番   田中ゆきえ      6番   小野裕次郎   7番   高月まな       8番   藤原たけき   9番   北島としあき    10番   豊島あつし  11番   渡辺清人      12番   大門さちえ  13番   永原たかやす    14番   渡辺みちたか  15番   よだかれん     16番   三雲崇正  17番   久保こうすけ    18番   志田雄一郎  19番   川村のりあき    20番   近藤なつ子  21番   野もとあきとし   22番   中村しんいち  23番   佐原たけし     24番   吉住はるお  25番   池田だいすけ    26番   桑原ようへい  27番   松田みき      28番   伊藤陽平  29番   のづケン      30番   えのき秀隆  31番   鈴木ひろみ     32番   沢田あゆみ  33番   有馬としろう    34番   宮坂俊文  35番   下村治生      36番   おぐら利彦  37番   かわの達男     38番   雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名  区長       吉住健一    副区長      寺田好孝  副区長      鈴木昭利    総合政策部長   平井光雄  総務部長     針谷弘志    地域振興部長   山田秀之  文化観光産業部長 菅野秀昭    福祉部長     関原陽子  子ども家庭           橋本 隆    健康部長     髙橋郁美  部長  みどり土木           田中孝光    環境清掃部長   野田 勉  部長  都市計画部長   新井建也    会計管理者    小沢健吾  企画政策課長   大柳雄志    財政課長     遠山竜多                   教育委員会  総務課長     鯨井庸司             酒井敏男                   教育長  教育委員会            選挙管理           村上道明    委員会      山本誠一  事務局次長            事務局長  常勤監査委員   小池勇士    監査事務局長   下杉正樹---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員  局長       木城正雄    次長       新川金七  議事係長     濵野智子    議事主査     黒木明子                   議会事務局  議事主査     榎本直子             仙崎雄介                   主査  議会事務局           設楽拓也    書記       笠原鉄平  主査  書記       長谷川雅章---------------------------------------  速記士      土田有美---------------------------------------2月19日    議事日程 日程第1 代表質問 日程第2 第32号議案 公の施設の指定管理者の指定について--------------------------------------- △開議 午前10時00分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  13番 永原たかやす議員  33番 有馬としろう議員 を指名します。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。 ◎議会事務局次長(新川金七) 区長から、 1、第33号議案など6件の議案の送付について 監査委員から、 1、職員措置請求監査結果について(通知) 2、新宿区職員措置請求について(通知) 3、定期監査の結果について 4、令和元年度行政監査(附属機関等の設置及び運営状況について)の結果について 5、令和元年度財政援助団体等監査の結果について---------------------------------------                           31新総総総第7415号                           令和2年2月18日 新宿区議会議長  吉住はるお様                           新宿区長  吉住健一               議案の送付について 令和2年第1回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 第33号議案 令和2年度新宿区一般会計補正予算(第1号) 2 第34号議案 令和2年度新宿区国民健康保険特別会計補正予算(第1号) 3 第35号議案 新宿区職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例 4 第36号議案 新宿区職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例 5 第37号議案 新宿区国民健康保険条例の一部を改正する条例 6 第38号議案 新宿区幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例---------------------------------------                            31新監査第5352号                            令和2年2月13日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     小池勇士                           同     國井政利                           同     豊島あつし         新宿区職員措置請求監査結果について(通知) 令和元年12月17日付けで提出された新宿区職員措置請求書(収受番号第5286号)に基づく職員措置請求(住民監査請求)について、地方自治法第242条第4項の規定による監査の結果を別添のとおり決定したので通知します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                            31新監査第5353号                            令和2年2月13日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     小池勇士                           同     國井政利                           同     豊島あつし           新宿区職員措置請求について(通知) 令和2年1月16日付けで提出された新宿区職員措置請求書に基づく職員措置請求(住民監査請求)については、下記の理由により却下することに決定したので通知します。     〔以下は省略〕---------------------------------------                            31新監査第5341号                            令和2年2月17日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     小池勇士                           同     國井政利                           同     豊島あつし              定期監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、令和元年度定期監査(後期)の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。     〔以下は省略〕---------------------------------------                            31新監査第5342号                            令和2年2月17日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     小池勇士                           同     國井政利                           同     豊島あつし  令和元年度行政監査(附属機関等の設置及び運営状況について)の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、令和元年度行政監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。     〔以下は省略〕---------------------------------------                            31新監査第5345号                            令和2年2月17日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     小池勇士                           同     國井政利                           同     豊島あつし         令和元年度財政援助団体等監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、令和元年度財政援助団体等監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。     〔以下は省略〕--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、17番久保こうすけ議員。     〔17番 久保こうすけ議員登壇、拍手〕 ◆17番(久保こうすけ) おはようございます。立憲民主党・無所属クラブの久保こうすけです。 令和2年第1回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問いたします。どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。 2020年の新しい年を迎えました。7月からは、いよいよオリンピック・パラリンピックが行われます。国民誰もがトップアスリートの技を近くで見ることを心待ちにし、また日本の活躍を期待していることでしょう。 しかし、一方で新型コロナウイルスによる死者も国内で発生し、感染の拡大が懸念されているところです。私たち一人ひとりが手洗いやうがいによる予防を行い、極力無駄な外出を避けることしか対策がないと言われています。 そのような中、新宿区として国や都と情報を共有し、区民の不安と風評被害を減らす努力をしっかりと行っていただきたいということを申し上げて質問に入ります。 まず最初に、令和2年度予算(案)について伺います。 吉住区長は、14日の基本方針説明の中で新宿区の財政について、「実質単年度収支が6年連続黒字となり、各種基金の残高確保に努めた結果、一定の財政対応力を身につけつつある」と述べておられます。しかし、平成30年度決算において経常収支比率が80.8%であったことにより財政構造が弾力性に欠けるとし、また法人住民税の一部国税化やふるさと納税等不合理な税制改正による減収が懸念されると認識して予算編成に臨まれました。 さらには、昨年10月の消費税の増税により区財政がどのように変化し、また区民生活に与える影響はどのようなものになるのかなど見通しが難しい要素もあります。 そのような中、財政状況が不安定であることを十分認識し、的確に区民ニーズを把握した上で区民一人ひとりに寄り添った区政を行っていくことが必要であると考えます。 そこで、まず歳入についてお聞きします。 来年度予算での一般財源歳入は、令和元年度より19億円増額の977億円となっています。そして、その一つの要因として歳入の32%を占める特別区税を納税者人口の増加により3億円増と見込んでいます。納税者人口の推移と収入率を予測しての判断だと思いますが、言うまでもなく区民の皆様にしっかりと納めていただかなくては安定的な予算執行を行えません。 予算案では、特別区民税の現年課税分の普通徴収分を算出する収入歩合を0.945としています。これは、ここ3年間変わらない数字ですが、その根拠と収入歩合の算出方法についてお聞かせください。 また、徴収率向上のために来年度何か取り組まれることがあれば、お聞かせください。 そして、今年の4月からは住民税・軽自動車税・国民健康保険料クレジット納付を導入します。この取組により収納率の向上が見込まれるのか、併せてお聞きします。 次に、歳入に影響を与えるふるさと納税と法人住民税の一部国税化について伺います。 平成20年より始まったふるさと納税ですが、平成27年4月からは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が加わり、新宿区の歳入に今でも大きな影響を与えています。また、平成26年に始まった法人住民税の一部国税化など、区財政が不安定になる大きな要因となっています。それぞれ来年度の区財政への影響額をどの程度と予測しているのか、また、これまでも行ってきた特別区長会から国へ要望を出すことでの進展が見られない中、改善に向けた今後の方針について区長の見解を伺います。 続いて、事業の執行率について伺います。 新宿区は、事務事業の見直しのため、原則として2年間連続して執行率が95%以下、不用額200万円以上の事業について、執行率に応じて削減率を設定し、経費の削減を行うことを基準としています。もちろん、このことは限られた財政の中で区政運営を行うため非常に重要なことです。しかし、基金の積立てを充実させるためとして、毎年のように2月の補正予算で減額補正を行っています。 このような状況であると、決算での執行率が当初予算に対しての執行率とは異なってしまい正確な判断ができないと思われますが、予算編成に当たり執行率についてはどの数字を使い、どのように判断しているのかお聞かせください。 また、区民にとって分かりづらいと思いますが、その点についてはどのようにお考えかお答えください。 次に、オリンピック後の区民負担について伺います。 平成25年9月の第152次IOC総会にて、東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決定しました。その後、新宿区では平成27年度に11事業、約6億8,000万円の予算を計上してオリンピック関連事業を始めました。平成28年度にはオリンピック・パラリンピック担当課を設置し、「1000日前イベント」や障害者差別の解消への取組など、気運醸成やスポーツ、教育など多くの分野で様々な事業を展開してまいりました。 今年9月にオリンピック・パラリンピックは終了しますが、年度予算案には43事業、約36億円の事業が計画されています。終了後には、これらの事業はどのようになるのか、区民の負担が残るような事業があるのか、主な事業を挙げてお示しください。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 久保議員の御質問にお答えします。 令和2年度予算(案)についてのお尋ねです。 初めに、特別区民税予算における普通徴収分の収入歩合についてです。 予算上の収入歩合は、過去の実績を踏まえ設定しています。普通徴収分の収入歩合0.945は平成15年度から採用しており、令和2年度予算についても最近の実績を勘案して、引き続き同じ収入歩合としました。 次に、徴収率向上の取組についてです。 来年度もこれまでの徴収確保の取組を着実に実施していくことが重要です。そのため、引き続き口座振替への推奨による納期内納付を進めるとともに、納税催告センターを活用して納税が遅れている方への早期納付の勧奨を実施してまいります。 また、納付相談においては、相談者それぞれの状況を踏まえ丁寧に対応してまいります。 このような取組を通じ、徴収率向上に努めてまいります。 次に、住民税・軽自動車税・国民健康保険料クレジット納付導入による収納率の向上についてのお尋ねです。 クレジット納付は、スマートフォン等のアプリを使用することでクレジット決済に対応し、24時間納付手続が可能となります。併せて導入するペイジー納付とともに、ライフスタイルに合った納付方法を選択することができ利便性が向上します。 クレジット納付導入によって直ちに収納率の向上を見込むことは難しいですが、納付機会を拡充することで安定的な収入確保に努めてまいります。 次に、法人住民税の一部国税化とふるさと納税による減収についてのお尋ねです。 法人住民税の一部国税化による影響額ですが、特別区全体では、消費税率が5%であった平成25年度と比較すると、令和2年度は約1,006億円の減収と試算されています。都区財政調整の財源である調整税等の減収を受け、結果的に各区の基準財政需要額がその規模に応じて圧縮されていることを勘案し、新宿区の財政調整交付金実績で算出すると、令和2年度は約30億円の減収と見込まれます。 また、令和2年度のふるさと納税による減収額は、寄附者の増加により前年度比22.4%増の約26億円になるものと見込んでいます。ふるさと納税により地方自治体の様々な施策の財源として納税者に負担を求める住民税が他の自治体への寄附によって減少し、区民サービスの低下を受け入れざるを得ないといった不公平が生じるなど、制度にゆがみがあると考えています。 本来、ふるさと納税については、税の使われ方を考えるきっかけとなること、生まれ故郷やお世話になった地域の力になれることなどが制度の趣旨です。 区では、夏目漱石記念施設整備基金や子ども未来基金など、区の事業に貢献していただける制度として寄附金を区政の様々な分野に活用しています。 次に、国による不合理な税制改正などへの見解についてのお尋ねです。 住民税を地方自治体間の財源調整に用いることは地方税の原則をゆがめるとともに、地方分権の流れに大きく逆行するものです。 特別区長会は「不合理な税制改正等に対する特別区の主張」の中で、特別区は財源に余裕があるかのような誤解があるとして、実態を示しながら反論をまとめるとともに、国に対し要望活動を行っています。 私は、地方税の本旨を無視した不合理な税制改正で都市部から税源を奪うのではなく、国の責任において地方自治体の税財源の拡充を図るべきとし、今後も真の分権社会の実現に向け、引き続き区ホームページや広報新宿への掲載などを初めとして、地方税財源の拡充を強く主張してまいります。 次に、事業の執行率についてのお尋ねです。 当初予算と執行実績の乖離については、事業実施に至る前の業務手順の工夫や仕様の見直しによる経費節減、入札等の契約差金など様々な事由に起因しています。必ずしもその乖離のみで事業のよしあしの評価とはなりませんが、不用額が多額の場合には、効果的・効率的な行財政運営を行う観点から課題であると考えています。 そのため、毎年度の当初予算編成においては、事務事業の見直し手法の一つとして、経常事業として画一的な不用額精査を行っています。これは原則として、当初予算に対して直近2年間の決算が執行率95%未満、不用額200万円以上の事業について執行率に応じて削減率を設定し、経費を削減するものです。 減額補正を行わないで決算を迎える方法もありますが、毎年度の2月補正予算において減額補正を行うことによって予算の減額が、財政調整基金を初め、その他基金からの繰入金の削減となり、基金残高が確保でき、新たな基金充当が必要な事業への活用が可能となります。 さらに、減額補正時点での基金残高を明らかにすることで、当該年度の区財政の現状をお示しできることにもなります。今後とも区財政の現状について区民の皆様に御理解いただけるよう、周知等工夫してまいります。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック関連事業についてです。 区では東京2020オリンピック・パラリンピックを、新宿区がめざすまちの姿「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に大きく寄与するものと捉え、区民の記憶に残る気運醸成やスポーツによる健康増進、障害者理解の促進、文化・観光によるにぎわいづくり、回遊性や利便性向上のための都市基盤整備など、様々な事業に取り組んでいます。 これらの事業については、大会の開催に合わせて完成・終了するものや、健康づくり、障害者理解と支援の取組、ユニバーサルデザインのまちづくり、平和啓発事業など、開催後もレガシーとして取り組むべきものもあります。 ◆17番(久保こうすけ) 次に、区政の基本方針についてお聞きをします。 2月14日、今定例会の初日に、吉住区長より区政の基本方針説明が議会と区民に向けてなされました。ここではその基本方針説明を受けて、何点かお聞きをします。 区長は、基本政策の第一として、「暮らしやすさ1番の新宿」を掲げ、「子どもや若者、高齢者、障害者など区民一人ひとりが暮らしやすさを実感でき、心豊かに暮らし続けられるまちづくりを推進する」と述べられました。私ども会派も全く同感であり、新宿区政に求められているのは、何よりもまず、この新宿区で暮らす誰もが心豊かに明るく楽しく、そして大切なのは、どの世代になっても、また生活環境が変わっても可能な限り新宿区に住み続けられる、そういう施策を行うことではないでしょうか。 1月1日現在、新宿区には約34万8,000人の方が暮らしています。そして、約6万7,500人の方が65歳以上の高齢者であり、そのうち約2万8,000人が単身者となっています。また、約4万2,600人が外国人というのも新宿ならではの特徴でもあります。 「暮らしやすさ1番の新宿」を実現するためには、これらの方々の暮らしをしっかりと支えることが現在の区政に求められています。 そこで、まず高齢者施策について伺います。 新宿区において、これからますます高齢化と単身化が進むと考えられる中、「住み続けられるまち新宿」を実現するためには、高齢者の住宅確保は喫緊の課題です。 そのための施策として、予算案では高齢者や障害者等の住まいの安定確保のため、保証料の助成を35件から50件に拡大し、また入居者死亡事故保険助成を50件新規に行うとしています。そして、2月4日に初めて開かれた居住支援協議会は、高齢者だけでなく、障害者やひとり親家庭など住宅確保要配慮者の住宅供給を適切に行うために設置されました。 しかし、保証料助成50件と入居者死亡事故保険助成50件だけでは、今後増える高齢者に対応するのは困難であると考えます。居住支援協議会での協議を基に、住宅援助の施策の拡充を早急にすべきであると思いますが、いかがでしょうか。 次に、基金についてお伺いをします。 まず、子ども未来基金について伺います。 予算案では、子どもの貧困の連鎖を防止する取組として、子ども未来基金を活用し子ども食堂や交流の場の提供を行っていくとしています。来年度は助成回数、上限額、助成率などを拡充することについては大いに評価するものです。 子育て・教育施策については貧困問題のほかにも様々な課題があると思いますが、子ども未来基金の今後の活用について区の方針をお聞かせください。 次に、定住化基金の廃止について伺います。 平成2年に設置された定住化基金は、人口減少を食い止め定住化を図るため、主に民間賃貸住宅家賃助成事業に使われてきました。今定例会に廃止条例が上程されているところです。 設置されたときから31年が過ぎ、現在の新宿区は人口の世代構成も当時とは変わってきています。人口減を食い止めるための定住化施策ではなく、住み続けるための定住化施策が求められていますが、今後の定住化に対する区のお考えをお聞かせください。 次に、外国籍の児童・生徒への日本語指導について伺います。 先日、我が会派で大久保小学校に日本語学級の視察に行かせていただきました。現在では大久保地域だけではなく、日本語が話せない児童・生徒が増えてきているとの話も聞きました。新宿区は日本語が話せない児童・生徒に対しては、まず教育センターにおいて日本語初期指導を行い、最低限の日本語を身につけさせてから学校へと送り出していますが、今後、外国籍の児童・生徒が増えてきた場合の対応はどのようになされるのかお聞かせください。 また、日本語の習得だけでも大変な上に、高校進学などの指導も必要となります。外国籍の児童・生徒への各教科の指導には、子どもの日本語の習得度合いにより個別指導が必要になってくると思いますが、教師の不足や進路指導・受験対策についてはどのように行っていくおつもりなのかお聞かせください。 続いて、防災施策について伺います。 昨年の台風15号と19号到来の際には新宿区においても様々な被害があり、避難指示の伝達方法や避難所の開設・運営、帰宅困難者の受入れなど課題も多く残りました。 区長の基本方針説明の中でも、「避難所運営体制の充実を図る」とありましたが、風水害時の避難について具体的な取組などをお聞かせください。 次に、新宿区災害時受援応援計画の策定について伺います。 この計画策定に当たっては、主に災害時の救援物資の受入れとボランティアなど人材の受入れについてしっかりと準備をしておく必要がありますが、現時点でそれぞれどのようにお考えかお聞かせください。 また、来年度、新宿区地域防災計画を見直すとしていますが、こちらも具体的な見直しとはどのようなものか併せてお答えください。 続いて、障害を持った子どもたちのオリンピック・パラリンピック観戦について伺います。 来年度予算案に区内保育園・子ども園の5歳児にパラリンピック観戦の機会を提供する事業が新たに設けられました。これにより新宿区に住む子どもたちは、幼稚園の5歳児、小中学校の全生徒と併せ、多くの子どもたちがオリンピック・パラリンピックを観戦し、実際に肌で感じる機会ができたことは大変喜ばしいことですし、高く評価をいたします。 しかし、障害を持った子どもたちにとって、このような学校や園単位での観戦では、その子の障害の度合いによっては参加が難しい子どもも出てくると考えられます。 言うまでもなくオリンピック・パラリンピックが身近で行われる機会は、今後いつ訪れるか分かりません。障害を持った子どもたちにパラリンピック観戦の機会を提供し、汗を流して頑張るアスリートの姿を間近で体感することにより、将来の夢に希望を抱いたり、自分に勇気や自信を持つことができるよいきっかけになると思います。学校や園での観戦とは別の枠組みで障害を持つ子どもたちにパラリンピック観戦の場をぜひとも設けていただきたいと思いますが、区長の御見解をお聞かせください。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 区政の基本方針についてのお尋ねです。 初めに、高齢者施策についてです。 御質問の家賃等債務保証料助成と入居者死亡保険料助成の件数については、区内の民間賃貸住宅に住む単身高齢者の数や住み替え意向等を基に、それぞれ50件と想定しました。 また、新宿自治創造研究所の将来人口推計によれば、区内の高齢者数は2030年までは2015年と同程度で推移した後、2060年にかけて約1.4倍に増えることが見込まれています。 このため、これらの助成制度については、今後の高齢者数の推移や制度の利用実績、居住支援協議会における協議等を踏まえて、必要に応じて助成件数の拡充等を検討してまいります。 次に、子ども未来基金の今後の活用方針についてのお尋ねです。 平成28年4月に同基金を設置し、これまで延べ29の活動に支援を行ってまいりました。貧困家庭への支援や地域のコミュニティづくりにつながる子ども食堂、学習支援の活動、育児の孤立化を防止するための親子の交流活動、子どもの情緒や創造性を育成する音楽活動、世界の文化に触れる体験イベントなど、多様な活動が助成対象になっています。 このような地域団体による多様な活動が活発に行われ、子どもや子育て家庭が活動に参加することにより、日頃の悩みを解消したり、学びや体験の機会を得るなど、子どもと子育て家庭の支援につながっていると捉えています。 これまでの活動実績を踏まえ、地域に根差した多様な活動が継続して活発に行われるために、令和2年度から、これまで4回までとなっている助成回数を見直し、5回目以降も継続して支援を行うなど、助成内容を拡充していく考えです。 あわせて、活動場所の確保や情報提供、活動の周知などの支援も継続してまいります。 さらに、子ども未来基金の趣旨や助成制度について積極的に周知を図り、多くの団体が助成制度を活用し、子どもの育ちを支援する活動がより広く活発に行われるよう取り組んでまいります。 次に、定住化基金の廃止についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、定住化基金はバブル期の地価高騰による急激な人口流出となったことを背景に、定住化対策の一環として平成2年に設置しました。 その後、地価高騰は沈静化し、近年は人口動態も都心回帰に転じるなど、社会情勢の変化を踏まえ、同基金は廃止します。 今後の定住化については、新宿区には子ども、障害者、高齢者、外国人等、国内外の様々な人が暮らしていることから、それぞれのニーズに即して住み続けることができる住宅施策を進めてまいります。 次に、防災施策についてのお尋ねです。 初めに、風水害時の避難についての具体的な取組についてです。 昨年の台風19号では、避難勧告等の発令基準、水害時の避難所運営体制、確実な情報伝達など様々な課題があったことから、現在区では、風水害対応タイムラインや避難所運営ガイドラインの作成、職員態勢の強化、多様な情報伝達手段の確保等について具体的な検討を進めています。 今後も激甚化、頻発化する風水害から区民の生命を守るための対策の強化に取り組んでまいります。 次に、災害時の救援物資の受入れとボランティアなどの人材の受入れについてです。 首都直下地震などの大規模災害時に、他自治体等からの応援職員や支援物資を効果的に活用することは、応急活動・復旧復興活動において非常に重要であると認識しています。 そのため、現在策定中の新宿区災害時受援応援計画では、災対各部に受援ニーズを取りまとめる業務担当を配置するとともに、他自治体や団体等に対して区全体の支援要請などを行う受援担当を新たに設置し、受援体制の強化を図ることとしています。 具体的には、他自治体職員の受入れについては、災対総務部職員班を中心としたカウンターパート方式を前提とする手順を整理し、救援物資の受入れについては、災対総務部物資調達輸送班を中心に輸送体制を確立してまいります。 さらに、一般ボランティアについては災対地域部ボランティア調整班と社会福祉協議会が連携して設置する災害ボランティアセンターを中心に、避難所などの活動支援を実施します。 策定後は、BCM活動や災害対策本部訓練等を行い、本計画の実効性を高めてまいります。 次に、新宿区地域防災計画の具体的な見直しについてです。 令和2年度の新宿区地域防災計画の修正は、土砂災害防止法に基づき、令和元年9月に指定された人工斜面の土砂災害警戒区域等における避難体制の追加、避難勧告等に関するガイドラインの改定、新たに策定する新宿区災害時受援応援計画を反映させて、災害対策本部体制の強化を図ります。 次に、子どもたちのオリンピック・パラリンピック観戦についてです。 東京2020オリンピック・パラリンピックは、56年ぶりに東京で行われる世界最大のスポーツと平和の祭典であり、未来を担う子どもたちの記憶に残るよう、大会に関われる機会をつくりたいと考えています。 こうしたことから、区では東京都の実施する事業を活用し、保育園・子ども園等を利用する5歳児を対象として、観戦機会を提供する事業を実施することとしました。また、幼稚園の5歳児や小中学校の児童・生徒については、東京都の学校連携観戦チケットの活用により観戦機会が提供されます。 観戦チケットは、必ずしも希望どおりに割り当てられるとは限りませんが、チケットの枚数や競技種目、日時等が決まり次第、各園や学校との調整を進めてまいります。 なお、観戦に際しては交通事故の防止や熱中症対策など、子どもの安全を第一に引率する必要があります。未就学児については、5名当たり1名以上の引率者による体制を組むよう東京都からも求められているところです。 区では、十分な引率体制の確保を前提として、障害の有無にかかわらず、保育園・子ども園や幼稚園の5歳児、小中学校に在籍する子どもを対象に、観戦機会を確保していきます。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 外国籍の児童・生徒への日本語指導についてのお尋ねです。 教育委員会では、日本語が話せない児童・生徒を対象にした、母語による日本語初期指導を100時間程度実施しており、日本語を「話す」「聴く」ことで日本語の習得状況を測るDLAテストを行い、評価結果を基に、必要に応じて延長指導を行うなど、一人ひとりの日本語の習得状況を見極めながら丁寧な指導を行っています。 さらに、日本語初期指導を終了した児童・生徒に対し、放課後などに日本語による教科指導や日本語学習の指導を行う日本語学習支援を最大で140時間実施しています。 今後、外国籍の児童・生徒が増えた場合については、日本語初期指導を行う事業者等の指導員の人材確保及び人材育成の取組により指導員の増にも対応できるものと見込んでいますが、対応母語が一層多様化するなど、必要となる対応言語に影響を生じる可能性もあることから、外国から編入する児童・生徒の国籍の動向を注視しながら、円滑な指導体制の整備を進めてまいります。 外国籍児童・生徒への個別指導を行う教員については、日本語学級を設置している大久保小学校と新宿中学校以外にも、日本語指導が必要な児童・生徒が多く在籍している学校に日本語指導の担当教員が配置されており、今年度は小学校6校、中学校1校で担当教員による個別指導を行っています。 今後も日本語学級や日本語指導の担当教員による指導に加え、日本語初期指導や日本語学習支援の指導員を派遣することで、児童・生徒の日本語の習得状況に応じた個別指導を進めてまいります。 次に、外国籍児童・生徒への進路指導・受験対策についてです。 教育委員会では、現在、高校受験を希望する中学校3年生のうち、日常会話はできても、学年相当の学習言語の不足により学習活動に支障が生じている外国籍の生徒を対象に、習熟度に応じた学習指導及び進学支援を行う「外国籍の中学生に対する進学等支援」を専門事業者に委託し、週1回程度、母語を使用しながら志望校の入試科目や入試方法に即した指導を行っています。 毎年受験した生徒全員が第一、または第二希望の高校へ進学していることから、今後も引き続き志望校に進学できるよう支援してまいります。 ◆17番(久保こうすけ) 次に、第8期介護保険事業計画の策定について伺います。 近年の我が国は、少子高齢化や核家族化、ライフスタイルの変化により介護の現場は多様化、高度化しており、介護保険サービスはこれらのニーズに対応し、質的・量的に一層の充実が求められています。 基礎自治体である新宿区は、介護保険法第117条に基づき介護保険事業計画を策定することが求められており、直近では平成30年2月に第7期介護保険事業計画を策定し、来年度は3か年度にわたる同計画の最終年度に当たります。 そこで、この質問では、第7期計画の進捗状況と第8期の計画策定に向けた取組についてお尋ねします。 まず、第7期計画の進捗状況についてお尋ねします。 第7期介護保険事業計画では、要支援・要介護認定者数について、平成29年度の1万3,374人から、平成32年度(令和2年度)の1万4,141人まで767人増加すると推計しており、そのサービス利用見込量の増加に対応するために、認知症高齢者グループホーム3所、小規模多機能型居宅介護事業所を1所、ショートステイ事業所を1所、特別養護老人ホームを1所整備する計画です。 まず、この認定者数の推計について、現時点までの実際の認定者数を正確に予測したものであったのか、また計画された介護保険サービス基盤充実の進捗状況をお聞かせください。 次に、それぞれの介護保険サービスの利用実績について、特に要介護認定者に関し、区が整備計画を立てた認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護事業所、ショートステイ事業所及び特別養護老人ホームの利用実績と、前期計画において対計画比が100%を大きく上回った通所介護の実績について、直近2か年の推移と、見込みと実績が乖離した場合にはその要因をお聞かせください。 次に、第8期計画策定に向けた取組についてお尋ねします。 区では、第8期介護保険事業計画の策定に向けて、令和2年度までに第7期の事業実施状況を総括し、また「高齢者の保健と福祉に関する調査」を実施することになります。 区内の要支援・要介護認定者数の増加が見込まれる中、区内の介護保険サービス基盤を充実させるためには、それを支える介護職員の確保が必要になります。 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込量等に基づき都道府県が推計した介護人材の需要を見ると、2025年度末に必要な介護人材数は約245万人となり、2020年度の約216万人に加え、5年間で約30万人の人材確保が必要であると推計されており、介護人材の確保は喫緊の課題です。 そして、介護人材の確保のためには、まずは労働実態の調査が必要です。この点、第7期計画を策定するに当たり、新宿区では介護保険サービス事業所及び介護老人福祉施設等を対象とするアンケート調査を行いましたが、介護職員の労働時間や夜勤体制などについての具体的な労働実態調査は行っていません。また、そもそも介護職員を対象とする調査を行っておらず、区内で働く介護職員がどのような勤務環境にあるのか、実態把握が十分とは思われません。 公益財団法人介護労働安定センターでは、厚生労働省からの委託により、毎年、事業所及び介護労働者を対象とする介護労働実態調査を行い、その結果を公表しています。 直近の2018年度の調査結果では、60歳以上の労働者が全体の2割を超え介護人材の高齢化が進んでいること、介護労働者自身が家族の介護を理由とする介護離職を懸念していること、介護労働者の多くが労働条件・仕事の負担に関する悩みとして人手不足を挙げていること、不足の原因には人材獲得競争の激化や他産業と比較して労働条件がよくなく介護業界に人材が集まらないことが挙げられていることが分かりました。 全国的な課題が明らかになっている中、新宿区でも第8期計画策定に向けて、介護職員を対象とする調査を行うべきと思いますが、区では区内施設で働く介護職員の勤務環境についてどのように把握し、認識しているのか、また今後はどのように把握することを検討しているのか、お聞かせください。 次に、区内事業所における人材確保を支援する施策についてお尋ねします。 人手不足の原因である、ほかの産業と比較して労働条件がよくないことの背景には、介護職員の処遇、特に賃金の問題があると指摘されています。 賃金は、介護報酬を原資とするものですが、これを一律に引き上げることは容易ではありません。 他方で、国では従前から、一定の要件を満たした事業所に対して介護報酬の処遇改善加算を行っており、さらに昨年10月からは勤続10年以上の介護福祉士がいる事業所を中心に特定処遇改善加算を行っています。 区内事業所におけるこれらの加算制度の活用状況と活用促進のための区の支援策についてお聞かせください。 また、介護職員の処遇改善の方法として、住宅家賃補助が考えられます。 区では、東京都より補助金を受けて介護従事職員の宿舎借り上げ支援事業を平成30年度より実施しています。しかし、現在の区内での活用状況は6事業所・16部屋にとどまっており、人材確保策としては不十分と言わざるを得ません。 都内では、三鷹市が介護職員等家賃補助金として、介護職員等の家賃について2万円を上限に独自に補助する制度を実施しています。今後、区としても区内事業所の人材確保を支援するため、新宿区独自に介護職員に対する住宅・家賃補助を検討すべきと考えますが、区の御所見をお聞かせください。 最後に、新規の介護人材確保のための施策について伺います。 新宿区では、今年度、介護人材の確保・育成支援を目的として、介護職のやりがいや魅力を学ぶセミナーを実施し、介護入門研修も開催しました。このセミナーの実施結果について、セミナー及び研修の参加者数、参加者の感想やセミナー及び研修の効果に関する区の所見、課題をお聞かせください。 また、介護入門研修最終日に、講習参加者に向け仕事相談会を行っておりますが、この相談会による人材確保の成果についてお聞かせください。あわせて、この事業の来年度の取組予定についてお伺いをします。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 第8期介護保険事業計画の策定についてのお尋ねです。 初めに、第7期計画の進捗状況についてです。 計画期間中の要支援・要介護認定者数は、平成30年度推計1万3,766人に対し実績が1万3,797人、令和元年度推計1万3,953人に対し実績が1万4,019人と、推計に近い数値となっています。 次に、介護保険サービス基盤整備の進捗状況についてです。 認知症高齢者グループホーム1所とショートステイ併設の特別養護老人ホーム1所が予定どおり開設しました。 また、民有地を活用した公募のうち、認知症高齢者グループホーム1所と小規模多機能型居宅介護1所について、現在具体的に相談を受けているところです。引き続き事業者と密接な連絡を取り、令和2年度中に整備に結びつくよう支援してまいります。 次に、介護サービスの利用実績についてのお尋ねです。 第6期最終年度の平成29年度と第7期初年度の平成30年度の介護サービスごとの対計画比は、認知症高齢者グループホームは84.1%と85.6%、ショートステイは81.7%と92.3%、特別養護老人ホームは95.9%と96.8%となっています。 乖離があるのは、小規模多機能型居宅介護と通所介護です。まずは、小規模多機能型居宅介護の平成29年度の対計画比は55.6%で、新規施設の開設時期のずれが主な要因です。平成30年度は第6期に比べて利用が増えたことから、119.4%となりました。 次に、通所介護の平成29年度は190.8%で、これは制度改正の影響によるものです。平成28年度から通所介護が一般の通所介護と小規模事業所の地域密着型通所介護の2つに分かれましたが、地域密着型通所介護に移行する事業所が想定より少なかったためです。 第7期は第6期の実績を踏まえて計画し、通所介護の対計画比は96.7%となりました。 次に、第8期の計画策定に向けた取組についてのお尋ねです。 区内事業所で働く介護職員の勤務環境の把握については、今年度実施した「高齢者の保健と福祉に関する調査」の中で事業所調査を行い、離職率や処遇改善の実施状況などの設問で把握に努めたところです。 各事業所では依然として厳しい状況の中、人材確保に向けた職場環境づくりを行っており、区においても人材確保の支援が必要と認識しております。 今後も介護サービス事業者協議会や、事業者の代表も参加する高齢者保健福祉推進協議会において御意見を伺いながら現状把握に努めてまいります。 次に、区内事業所における人材確保を支援する施策についてのお尋ねです。 区内の介護サービス事業所における処遇改善加算制度の活用状況については、区が指定する80事業所の中で70事業所が加算を取得しており、うち44事業所は特定処遇改善加算も併せて取得しています。 加算制度の活用を促進するために、区では事業者からの個別相談に丁寧に対応しているほか、介護保険サービス事業所向け研修の中で加算の取得に向けた講座を開催するなど、加算を取得しやすいよう、きめ細かな支援を行っております。 介護従事職員の宿舎借り上げ支援事業については、平成30年11月から区内に所在する民間の地域密着型サービス事業所に対して東京都の補助金を活用して開始しました。初年度に比べ本年度は1.5倍程度の申請状況となっており、今後も周知を図りながら実施していくことから、現時点では区独自の住宅・家賃補助は考えていません。 次に、新規の介護人材確保のための施策についてのお尋ねです。 介護人材入門的研修事業のセミナー参加者は、合計12名、研修は9名でした。 セミナーの参加者からは、「介護に対する暗いイメージがなくなった」、「介護の仕事の多様性を知れた」、研修では「とても有意義であった」、「介護の仕事を始めたいと改めて思った」等の感想を頂いたところです。 介護の仕事に対するイメージの向上と興味を持っていただくことにつながりました。 課題としては、まず参加者数を増やすことが必要であり、区内事業所に通勤できる範囲の区周辺の方々への周知も必要と捉えています。 相談会の事後調査では、すぐには就職に結びつかなかったものの、「就職活動を始めたい」との声もありました。 来年度も秋頃の開催を予定しており、より多くの人に参加してもらえるよう周辺地域へも周知を行い、介護人材の確保につなげていきたいと考えています。 ◆17番(久保こうすけ) 最後の質問は、移動等円滑化促進方針の策定と交通弱者対策についてお伺いをします。 まず、「交通弱者」とは幾つかの意味がありますが、今回私どもが質問するに当たっては、「長距離の歩行ができない人」、「交通行動上、人の介護や機器を要する人」、「身体的苦痛を伴うなどの制約を受ける人」、「様々な移動の場面で困難を伴ったり安全な移動が困難な人」、「公共交通が不便であるが、マイカーを有していない人」、「妊婦や幼児を連れた人」など、いわゆる移動に制約を受ける方々のことであります。 平成12年に施行された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」に基づき、本区では平成17年に「新宿区交通バリアフリー基本構想」を策定し、高田馬場駅周辺地区と新宿駅周辺地区の500メートル~800メートルの徒歩圏内を重点地区に指定し、バリアフリー化すべき経路を設定するとともに、特定事業計画として鉄道駅、道路、信号機等について具体的な整備の計画を策定し、駅や道路、建物等における一体的・面的・継続的なバリアフリー化をこれまでに進めてきました。 この基本構想策定後、病院やデパートなど不特定かつ多数の人が利用する建物を対象とする「ハートビル法」と、鉄道やバスなど公共交通機関を対象とする「交通バリアフリー法」の2つの法律を統合する形で平成18年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が施行されました。そして、平成30年にこの法律の一部が改正され、自治体のバリアフリーに関する取組を一層促進させるため、高齢者や障害者等の円滑な移動の確保方策をまとめた「移動等円滑化促進方針」を策定することが努力義務として定められました。 このようなことから本区では、まちの状況の変化に合わせたバリアフリー化を図り、高田馬場駅周辺、新宿駅周辺だけでなく、区内全域のバリアフリー化を推進するために、これまでの取組を踏まえ、公共交通機関や特定の建築物・道路等の事業者、管理者と連携しながら、新たな方針の策定について検討を進めています。 令和2年度の予算案においても、区内のバリアフリー整備を促進し、高齢者や障害者等の円滑な移動を確保するため、「新宿区移動等円滑化促進方針」を策定するための予算が計上されており、具体的には移動等円滑化促進方針策定協議会の開催、移動等円滑化促進方針(素案)の作成、区内全域のまち歩き点検を実施し、令和3年度に方針を策定するとしています。 また、今定例会には、誰もが利用しやすく、分かりやすい質の高い都市空間を創り出すために、ユニバーサルデザインのまちづくりを一層推進する「新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例」が上程されています。この条例により、区、区民、施設所有者等が相互に連携して意識啓発に取り組むとともに、建築等の計画の早い段階からの事前協議制度や工事完了報告制度が創設することになり、ユニバーサルデザインに配慮し、誰もが移動しやすく、利用しやすく、分かりやすいまちづくりを推進しようとしています。 現在、移動することに多くの支障を来す高齢者や障害者の方からは、「近くにスーパーがないため、日常の買物が大変だ」とか「大きな病院へ通院するのに苦労している」など切実な声を多く聞きます。 これまでの基本構想の下、短期的に実現可能なバリアフリー化が着実に進んできましたが、今回の条例制定と移動等円滑化促進方針策定により中長期的なバリアフリー化が一層進み、交通弱者の方々が少しでも生活しやすくなることを期待しています。 そこで、以下5点質問いたします。 1点目に、「新宿区交通バリアフリー基本構想」の策定から15年が経過し、高田馬場駅周辺と新宿駅周辺を重点整備地区に指定し取組を進めてきましたが、現在の進捗状況をお聞かせください。あわせて、特定事業計画である鉄道駅における多機能トイレや案内サインの設置、道路における視覚障害者誘導ブロックの設置や歩道の改良、信号機の音響機能等の整備状況についてもお答えください。 2点目に、平成24年第1回定例会の本会議において、「今後、交通バリアフリーと移動制約者対策の進め方をどう考えているのか」という趣旨の私どもの質問に対し、「移動制約者対策の拡充も含めて基本構想を見直す」との答弁がありましたが、新宿区内全体の移動制約者対策についてどのような点を見直したのかお聞かせください。 3点目に、移動等円滑化促進方針策定に向けて、新宿区は交通弱者--ここで言う移動制約者を方針の中ではどのように位置づけて策定をされるおつもりなのかお聞かせください。 4点目に、方針の策定に当たり、今年度はJRや地下鉄等の鉄道駅、道路、路外駐車場、公園、官公庁や福祉施設等の区内にある施設の実態調査、高齢者、障害者、子育て世代の方々へのヒアリング調査を行ったと思いますが、区内全域でバリアフリーの状況をどのように分析されているのかお聞かせください。 5点目に、この方針を令和3年度に策定をするとのことですが、その後、この方針に基づき、移動等円滑化促進に向けて具体的にどのように進めていくおつもりなのか、お考えをお聞かせください。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 移動等円滑化促進方針の策定と交通弱者対策についてのお尋ねです。 初めに、交通バリアフリー基本構想の進捗状況などについてです。 区では、平成17年に策定した交通バリアフリー基本構想に基づき、高田馬場駅周辺地区及び新宿駅周辺地区を重点整備地区として位置づけています。両地区では特定事業計画を策定し、整備すべき項目として鉄道駅のエレベーター設置や道路の段差解消などについて定めています。これら整備すべき項目については、現在までに高田馬場駅周辺地区で23項目中21項目が、新宿駅周辺地区で61項目中57項目が整備完了しており、それぞれ約9割となっています。 御質問の鉄道駅における多機能トイレについては、重点整備地区を含め区内全ての駅で整備が完了しています。 案内サインについては、高田馬場駅において分かりやすい案内板に改善するとともに、バリアフリー経路をホームページに公開するなど、駅利用者の利便性向上を図っています。 また、新宿駅においては、事業者ごとに異なる案内サインを統一し、分かりやすく改善しました。 道路における視覚障害者誘導用ブロックや歩道の改良については、西新宿の青梅街道の工事箇所等を除き、両地区において整備が完了しています。 音響式信号機については、高田馬場駅周辺地区で23か所、新宿駅周辺地区で57か所、計80か所で設置されています。 次に、交通バリアフリー基本構想の見直しと移動等円滑化促進方針における移動制約者の位置づけについてのお尋ねです。 バリアフリー基本構想や移動等円滑化促進方針を定めるバリアフリー法やバリアフリー整備ガイドラインでは、主な施策の対象としている「日常生活や社会生活に身体の機能上の制限を受ける者」を「高齢者、障害者等」として位置づけています。この「高齢者、障害者等」については、高齢者及び肢体不自由者、視覚や聴覚障害者、知的や精神、発達障害者、妊産婦、乳幼児連れ、外国人などとしています。 区が策定する促進方針においても、バリアフリー法等に定める「高齢者、障害者等」を対象として促進方針に位置づけてまいります。 交通バリアフリー基本構想の見直しについては、促進方針策定の後、地域住民の意見や特定事業計画に関係する事業者などと調整を図りながら検討してまいります。 また、御質問にある移動制約者について、区は対象となる「高齢者、障害者等」と全てが必ずしも一致するものではないと考えています。 次に、バリアフリー状況の分析についてのお尋ねです。 移動等円滑化促進方針では、高齢者や障害者等が多く利用する旅客施設や官公庁、福祉施設、商業施設などの施設を「生活関連施設」として指定し、これら施設を結ぶ道路等を「生活関連経路」として指定します。 このため、本年度は区内の約2,500施設を対象に実態調査を実施するとともに、施設管理者等へのヒアリング調査を行いました。 実態調査においては、新宿駅周辺で大規模な商業施設や宿泊施設が集中し、戸塚地域では視覚障害者が利用する福祉施設が多く、また若松地域では福祉施設や大規模な病院施設があるなど、地域による施設の用途や規模の傾向、集約状況を把握しました。 また、施設管理者等へのヒアリング調査では、代表的な施設の利用状況を把握するとともに、比較的古い建物は段差の解消が困難である等、構造上の課題が多くあることなどを確認しました。 今後は、実態調査等の結果に基づき、各地域の特性を踏まえ、具体的に生活関連施設と生活関連経路を選定し、促進方針の検討を進めていきます。 次に、移動等円滑化促進方針策定後の移動等円滑化の進め方についてのお尋ねです。 移動等円滑化促進方針に基づきバリアフリー整備を進めていくためには、区と生活関連施設や生活関連経路などの各施設管理者がバリアフリー化やその課題などについて共通認識を持つことが重要です。 さらに、着実な実施に向けて、区と各施設管理者が連携してバリアフリー化に取り組んでいくことが必要であると考えています。 このため、促進方針策定後は施設管理者に対して促進方針に関する説明会や、分かりやすいパンフレット等による周知啓発などを行っていきます。また、生活関連施設や生活関連経路の新設や改修の際には、区と施設管理者が個別の協議などを行っていく予定です。 こうした取組を積極的に行うことで、移動等円滑化の一層の促進を図ってまいります。 ◆17番(久保こうすけ) 区長並びに教育委員会から御丁寧な答弁を頂きました。ありがとうございました。 今回は第1回定例会ということもあり、今年度に限らず、今後の区の方向性というのを大まかにお聞きをさせていただきました。 この後設置予定の予算特別委員会で同僚からもう少し細かい議論をさせていただきたいと思いますので、その節はよろしくお願いをいたします。 以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 次に、29番のづケン議員。     〔29番 のづケン議員登壇、拍手〕     〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕 ◆29番(のづケン) 新宿未来の会ののづケンです。新宿区議会第1回定例会に当たりまして、会派を代表し、区長並びに教育委員会に質問いたします。どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。 少子高齢化社会の進展が現在の日本における重要な問題であることは明白とされております。特に少子化による人口減少が及ぼすマイナスの影響、つまり労働者人口の減少、それに伴う社会保障制度の維持困難、さらには国内需要の減少による経済の衰退などが予想される問題として指摘されております。 少子化対策の一環として子育て支援の充実、働き方改革など様々な政策が議論されておりますが、これらの政策には一定の効果は認められるものの、少子化自体の根本的な原因は女性の未婚化、晩婚化、核家族化による家族制度の弱体化など、現代社会における価値観の多様化がもたらしたものでもあるため、現在においては画期的な改善は困難とも思われます。 そもそも少子化の到来は30年ほど前においても統計的に予想されていた事態でしたが、その当時は少子化よりもバブル崩壊後の不良債権処理が喫緊の課題として活発に議論されておりました。 目先の対処療法的な発想にとらわれることなく、長期的な考え方をもって政策を実行することが求められております。 いたずらに少子化によるマイナスにあおられるのではなく、将来における人口減少社会を前提とした長期的な政策について考えていくことのほうが現実的かつ責任ある政治的なスタンスではないかと考えます。 1億3,000万人をピークにして現在減少している我が国の人口ですが、近い将来1億人を割り込む事態を迎えると危機感が持たれておりますが、日本における適正人口を考えてみるとき、歴史的な視点も含む巨視的かつ客観的な視点も必要です。 歴史的に見て、日本の人口は平安時代は600万人、戦国時代、関ヶ原の戦いの頃は1,200万人、当時の日本の人口は現在の10分の1以下で、東京都の人口にも満たない状況で東軍徳川家康と西軍石田三成が戦っていたわけです。さらに、江戸時代は食料生産力の拡大もあって3,000万人に増加、明治時代は4,000万人、そして、さきの終戦直後は8,000万人でありました。 また、日本と同じようなサイズや産業を有している世界の国々では、フランスが6,700万人、イギリスが6,600万人、ドイツが8,300万人となっております。 これらの数字を見ても、日本の予測される人口規模である8,000万人~1億人であっても決して少ないという話ではありません。 将来の人口減少社会において、いかに成熟し、充実した社会を構築し、併せて国際的な競争力を維持・確保していくかを検討することが重要です。 人口減少社会を想定するとき、まずもって懸念されることは社会保障制度の持続可能性と言われております。確かに、今後20年~30年程度の期間は後期高齢者が増えて社会保障制度は一時的な危機状況を迎えますが、人間はターミネーターではありませんので150歳や200歳まで生きることはありません。一定の期間を過ぎれば高齢者人口も減り、極端にいびつな人口ピラミッドは是正され、縮小均衡の状態で人口減少はなだらかに進行するでしょう。 むしろ問題となってくるのは、現在の人口規模を想定して造られた様々な社会インフラの整備であり、特に人口サイズが縮小した場合の各地方自治体における生活関連インフラの維持でしょう。 さて、新宿区における人口推計ですが、新宿自治創造研究所のレポートによれば、2035年頃までは人口は増加し続け、その後ある程度の横ばいの期間を経て、その後減少していくと予想されています。 現在は東京一極集中の影響で順調に人口増加が進んでいますが、そんなに遠くない将来において新宿区でも人口が減少していくわけです。 この2035年までの15年間を長いと見るか短いと見るかは、それぞれの見解により異なるでしょうが、行政が一つの方向性を持って政策を展開するには、そう遠い将来とは言えません。 現在でもこのような将来を見越して、新宿区でも区有施設の在り方が検討されているのでしょうが、人口減少時代に向けて、よりスピード感を持って具体的に施設の再構築に着手するべきと考えます。 将来利用されなくなると予想される施設は、単に廃棄するだけでなく有効な再活用の方法を構築することも一考されるべきであります。 新宿区では統廃合された学校なども、その交通の便のよさなど持てるポテンシャルで民間企業に貸し出したりすることも可能でしょうが、地方の自治体では独自のアイデアを出して既存施設を再活用しているケースもあります。 千葉県鋸南町では廃校になった保田小学校を道の駅との合築施設として校舎をそのまま宿泊施設やギャラリー、物産市場として再活用しております。そこには懐かしの給食メニューを楽しめるレストランや鋸南町の観光情報を発信するスペースもあり、とてもユニークな施設として多くの来訪者の好評を得ております。 以上のような区有施設の再構築に関して区長の御見解をお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) のづ議員の御質問にお答えします。 人口減少社会における区有施設のあり方についてのお尋ねです。 新宿自治創造研究所による2015年国勢調査に基づく新宿区将来人口推計では、2035年までは緩やかに人口が増加し、その後、2045年まで横ばいが続き、2050年から減少に転じるとされています。 こうした中、約180棟ある区有施設については、半数以上が建設後30年以上経過しており、今後老朽化が進むにつれ、施設の維持管理に係る経費の増大も懸念されます。 このため、区では公共施設等総合管理計画に基づき、施設の長寿命化や複合化、廃止等の区有施設マネジメントに取り組んでいます。また、行政目的に使わなくなった区有財産の活用を図っており、小中学校や区有施設などの跡地・跡施設を賃貸借や信託方式等により区の政策に即して活用するとともに、税外収入の確保にも努めています。 今後とも行政需要等を踏まえながら、区有施設の適切なマネジメントを行ってまいります。
    ◆29番(のづケン) 次の質問は、間もなく開催されます東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて新宿のまちのブランド・イメージを向上させ、広く発信していくための施策についてであります。 多くの外国人観光客が訪れ、また全世界から注目されるこの時期を好機と捉え、各地方自治体は皆アイデアを出し、自らのまちをアピールしようと努力しております。 地域のブランド・イメージを向上させることは、より多くの観光客を引きつけることにもつながるからであります。 しかし、安易な発想や単なる思いつきで取り組んでも思ったような効果は生まれず、逆に経費の無駄遣いになりかねません。 よくあるような「ゆるキャラ」などの独自のキャラクターを創り出したり、例えば新宿オリンピックまんじゅうの類いのアイデアを考えてみても、決してうまくはいかないでしょう。 もともと新宿は一定の知名度とブランド・イメージがあるのですから、一から何か奇抜なものを生み出していくよりも、既に世の中に認知されている新宿関連の既存のコンテンツを効果的に活用することが得策と言えます。 観光における素材とは、何も古くからの遺跡や歴史的名所である必要はありません。ローマを訪れた観光客が、まずスペイン広場や真実の口といったところに行こうと思うのも、オードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」という作品の中の有名なシーンに出てくるからでありますし、またロンドン郊外のアビー・ロードに人が集まるのは、その場所がビートルズの「アビー・ロード」というアルバムジャケットに写し出されているからであります。 ここで一つのアイデアを挙げるならば、「聖地巡礼」という言葉が生み出されたように、新海誠監督のアニメ作品には多く新宿の街並みが描かれております。 昨年の作品であります「天気の子」は今年の年初から全米でも封切られ、「スター・ウォーズ」などの最新作の人気作品と並び、興行収入も数百億円に上ると話題になっております。 この作品を鑑賞したことのある新宿区民なら気づきますが、アルバイトをしているヒロインに主人公が出会った場所は、この区役所近くの大ガード近くのマクドナルドであり、主人公がチンピラと乱闘を演じるのはこの歌舞伎町、住み込みのアルバイトをしているのは山吹町、よく出てくる都営バスは区内を走る白61、クライマックスのシーンで主人公が駆け抜ける線路沿いの道は、目白駅から高田馬場方面に向かう道であります。 このような新宿の街並みを描いたヒット作品を有効に活用して、新宿のまち自体のブランド力を向上させることも可能であります。 文化観光課では「新宿ロケ地マップ」を発行していますが、このような方法で「天気の子」のスポットマップなどを新海監督のコメントなどを掲載して作成し、SNSなどを用いて広く情報発信するのも面白いと思います。 東京を訪れることになった観光客でこの作品のファンならば、1度はその現地を訪ねてみようと思うことでしょう。 人気のある既存のコンテンツに乗ることは、何よりも多大な経費がかかるわけではなく、思わぬ効果を上げることが期待されます。このような点に関して、区長の御見解をお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) 新宿区のブランド・イメージ向上についてのお尋ねです。 既存のコンテンツの活用についてです。 御指摘のとおり、観光資源としてのアニメや映画等のコンテンツ活用は有効であると考えています。 新宿観光振興協会では、人気アニメ「真夜中のオカルト公務員」を活用して、作品中で区内のスポットを紹介することにより、来訪したくなるまちの魅力を広く発信しています。さらに、映画「記憶にございません!」やテレビドラマ「記憶捜査」といった実写作品のロケ支援も行っております。 また、新宿区においては、「コボちゃん」や「文豪ストレイドッグス」などの人気のあるコンテンツを活用したスタンプラリーなどを行い、回遊性の向上に取り組んでいます。 今後も、新宿のブランド・イメージをさらに向上させるため、新宿区にゆかりのあるコンテンツの把握を行いながら効果的な活用を検討していきます。 ◆29番(のづケン) 次に、外国籍の日本語を母語にしない子どもたちへの日本語教育に関して、区長及び教育委員会に質問します。 新宿区は、外国人住民の多い自治体であり、当然外国籍の子どもも多く区内で学んでおります。その際に教育現場で問題となるのは、やはり言葉の壁であり、この部分を解決することで、より大きな教育的効果が期待されます。 しかし、日本語を母語としない人々にとっては、日本語は他の言語に比較して難解であるとの指摘もあります。 私たちにとっては日常生活で当たり前に使いこなすことができる日本語ですが、これを母語としない人々にとっては非常に難解な言語とされております。 特に平仮名、片仮名、漢字とそれぞれに区分された表記の音読と人称の使い分け、同じ単語や文章における文脈での意味の変化などが難しいと思われます。 ここで幾つかの例を挙げたいと思います。これは話すと分からないので、もしあれでしたら書いてみれば分かると思います。 一つの文章なんですが、「日本の日付では、日曜日は休日です。」、この何の変哲もない短文でありますが、ここで使われている「日」の文字は実は5通りの読み方をされています。つまり、「に」「ひ」「にち」「び」「じつ」です。 また、バナナが1本、2本、3本、4本という表記での「本」も「ぽん」「ほん」「ぼん」「ほん」と変化しますし、多数のバナナを数えるときは「本」ではなく「房」を使います。 このような物の数え方は、食べ物を例に取ってみても、それぞれに独特の言葉があり、パンならば1斤、イカならば1杯、豆腐なら1丁と、私たちが日常生活で習得する言葉でも改めて学習するとなると大変な労力がかかります。 さらには、前後の文脈や読む人の意識、文化的な背景などによって、その文章自体の意味が変化するのも日本語の特徴です。 「日本人は人の嫌がることを進んでする」「韓国人は人の嫌がることを進んでする」、この2つ並べられた文章はヘイトスピーチに当たるのでしょうか。 また、「男性は人の嫌がることを進んでする」「女性は人の嫌がることを進んでする」、先ほどのものを変化させたこれらの文章は、男女差別的なものなのでしょうか。 文章としてはそれぞれどれも同じ内容のことが表記されているわけで、全ては文章を読んだ人の意識や考え方によって理解されるものです。 現在、新宿区では日本語を母語としない子どもたちのために、教育センターで30時間の集中指導を行った後、指導員が各学校に派遣され、日本語習得のために50時間~70時間ほどの個別指導を行っていますし、新宿未来創造財団と連携した事業では、区の施設を使って「親子日本語教室」などの企画も展開されておりますが、これらの現在までの成果と問題点、さらには今後に向けた展望に関しては、どのように捉えていますでしょうか。 日本語が持つ特徴、独特の性格、つまり表音と表記は難しい、相互の文脈や文化的な背景の理解が求められるということを加味するならば、個々人による学習よりも集団による学習のほうが効果的であると思われます。 様々な言語を母語とする子どもたちが集まり、共に新しく日本語を学ぶ場を設けることによって、日本語の学習効果の向上だけでなく、ふだんの学校生活において言葉の壁が原因で孤立しがちな状況を同じ立場で学ぶ者同士の連帯によって緩和させるという利点も想定されます。 港区東町小学校では、通常学級に外国人児童を入れる国際学級を設け、日本語だけでなく英語を活用した特色ある教育を実施しております。もちろん、一般の日本人児童も同じ学校・学級で学び、新しい形での子どもたちの国際交流のモデルケースとなっております。 集団で日本語を学ぶカリキュラムを行うことによって、日本語の習得だけではなく、例えば「お正月には親しい人に年賀状を出す」「七夕には願い事を短冊に書き記す」といった日本独自の文化も併せて教えることもできます。 このような学校以外の場において集団で日本語を学ぶ機会は、永続的なカリキュラムではなく、たとえ単発的なものであっても、その実験的な意義はあると思われます。多くの日本語を母語としない子どもたちに向けて、このような学びの機会を設けることについての御見解をお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) 外国の子供達への日本語教育についてのお尋ねです。 初めに、「親子日本語教室」等の成果と課題、今後の展望についてです。 区では、これまで新宿未来創造財団と連携し、日本語の学習が必要な子どもたちが親と一緒に学ぶ機会としての「親子日本語教室」や学校が休みの期間に学べる場として「夏休み・春休み子ども日本語教室」を実施してきており、毎年70名を超える外国籍の子どもたちが受講しています。 これらの教室を受講している子どもやその親からは、「日々の生活で身近に使う日本語を学ぶことや生活習慣・文化を知ることができた」等、参加してよかったとの声が多く寄せられる一方、「子どもは日本語の勉強だけでは関心が長続きしない」「それぞれ習得状況が異なる中で教室のレベル維持が難しい」等の声も聞かれ、課題もあるものと認識しています。 こうしたことから、今後の教室の運営に当たっては、参加者個々の習得レベルや意欲差などを十分に把握した上で、個々のレベルに応じたカリキュラムをさらに工夫するなど、より効果的な日本語学習につながるよう、新宿未来創造財団とも一層の連携を図り、日本語教室の運営を行ってまいります。 次に、学校以外の場で学びの機会を設けることについてです。 様々な言語や異なる文化的な背景を持つ子どもたちが互いに学び合う機会を設けることは、互いの持つ多様性を認め合う多文化共生社会の実現や、これからの社会を生きるグローバル人材を育てることにもつながることと認識しています。 そのため、区ではNPO団体と連携して、外国籍の子どもたちが放課後に学校の授業を振り返りながら、より生活に密着し、かつ、学習に役立つ日本語を身につけられる場として「こどもクラブ新宿」を実施しているほか、新宿未来創造財団と連携して、ひな祭りなどの季節に応じた事業や日本伝統文化に触れ、また他国の文化を学びながら日本語の習得につながる機会を設けています。 今後も、外国人を支援するボランティアやNPO団体、新宿未来創造財団と連携して、集団で日本語を学び、互いの文化を理解し合う機会を積極的に提供してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、日本語を母語としない子どもたちへの日本語教育に関するお尋ねです。 教育委員会では、区立学校に編入した外国籍等の児童・生徒への支援として、英語・韓国語・中国語のほか、タイ語・ネパール語など全15言語以上の母語に対応した「日本語初期指導」を専門事業者に委託し、実施しています。 こうした支援を通じて、外国籍等の児童・生徒の基礎的な日本語能力の向上を図るとともに、円滑な学校生活のサポートや日本語による授業の理解促進につながっているものと認識しています。 一方で、日本語の習熟度に個人差があるため、学習言語が理解できず基礎学力が定着しない児童・生徒が一定程度いることから、日本語を「話す」「聴く」ことで日本語の習得状況を測るDLAテストの評価結果を基に、外国籍等の児童・生徒の日本語習熟度を正確に把握しながら、「日本語初期指導」体制の充実と「日本語初期指導」を終了した児童・生徒に対して放課後等に実施する「日本語学習支援」との連携強化を図ってまいります。 また、今後、外国籍等の児童・生徒の増加に伴い、対応母語が一層多様化するなど、必要となる対応言語に影響が生じる可能性もあることから、外国から編入する児童・生徒の国籍の動向を注視しながら、事業者と連携して円滑な指導体制の整備を進めてまいります。 次に、学校以外の場において集団で日本語を学ぶ機会を設けることについてのお尋ねです。 現在、外国籍等の中学3年生を対象とした進学支援事業を週1回、教育センターで実施しています。高校進学に特化した事業ですが、外国籍等の生徒たちの交流の場・居場所としての役割も担っているものです。 また、区立図書館においては、多言語による本の読み聞かせ会を実施するなど、読書を通して日本語を学ぶ機会となっています。 今後、集団で日本語を学び交流を深める多様な機会の創出については、各種学校や外国人コミュニティ団体などとの連携を図りながら検討してまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆29番(のづケン) 御答弁ありがとうございました。 先ほど「天気の子」って言ったんですけれども、皆さん見ていただけた方は分かると思うんですけれども、新宿のまちだらけなんです。それで、私も面白いんで、こういったものを、現場とそういうやつを比較してみようというものを作ったらどうかなんて話したら、もう既にネット上でもいろいろあふれているんです。ここはここだよ、ここはここだよなんて。だから、それを探っていくだけでも面白いかななんて思いまして。 最後の、主人公が異次元の世界につながる神社があるビルというのは、実は新宿区じゃなくて渋谷区の代々木の駅前なんです。そんな話をしたら、「よく知っているね」と言ったら、「当たり前だよ。それ今は取り壊されちゃったけれども、その前までは僕の「走れ!のづケン」のポスターが貼ってあったんだから」なんて言ったら、みんな大笑いしていたんですけどね。 こういう既に広がっているものを活用するというのは、非常に効果があるんじゃないかと思います。 あと日本語です。先ほどいろいろな話をさせていただきましたけれども、言葉にはコミュニケーションを取るという役割と、考える、思考するという役割の2つがあると思うんです。 コミュニケーションを取るというのは、それこそ本当に何十年後、AIが発展すれば、自動翻訳とか、そんなのはどんどんできると思うんですが、考え方や文化を基本にした部分での言語というのは、その根底となる部分と併せて学んでいかなきゃいけないということもありますので、そう考えると、ラテン語から派生した英語とかフランス語とかドイツ語というのは論理的な形で理解されやすいんですけれども、日本語というのは論理的というよりもニュアンスとか文脈とかということによって理解されるんで、日本語が滅びないためにも、そういった場というものは日本の学校教育の中では絶対やっていっていただきたいなと思っております。 どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 次に、13番永原たかやす議員。     〔13番 永原たかやす議員登壇、拍手〕     〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕 ◆13番(永原たかやす) 自由民主党新宿区議会議員団の永原たかやすでございます。会派を代表しまして代表質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 1、当面する区政の課題の幾つかについて。 令和の時代に入って初めての新年を迎えました令和2年の2020年は、日本にとっても、世界にとっても、大きな節目の年を迎えると思います。 今年の日本は、世紀の祭典としての東京2020オリンピック・パラリンピックも初秋には終わり、大きな転換点を迎えるものと思います。 世界に目を転じますと、イギリスのEU離脱などに見るように国際社会も大きく動く、まさに時代は新たな節目のときを迎えると言えます。 1月18日のイギリスのフィナンシャル・タイムズのニューズレター「モラル・マネー」は、「オーストラリアは、この28年間、不況知らずの良好な経済状況を謳歌してきたが、森林火災と干ばつの深刻化で状況は変わりつつあるとし、深刻化する森林火災が同国の経済成長の下振れリスクとなる」と言い、また同記事の中で、米バンク・オブ・アメリカは、「2019年10月~12月期と2020年1月~3月期に、森林火災がオーストラリアの国内総生産(GDP)成長を少なくとも0.2%~0.4%押し下げる可能性がある」との見通しを発表したと報じるところであります。 このように、気候変動は日本のみならず世界の多くの国や地域で見られるところであり、日本では昨今の大型台風の発生や猛暑など過去に例のない現象が目立ち、世界各地でも同様な現象が社会経済状況に大きな影響をもたらしており、我々の行動の全てにおいて、ある面、異常が日常化することを念頭に置くことが求められているようにも感じております。 それだけでも大変な状況にある中、さらに先が読めない新型コロナウイルスの問題が世界に広がり、国民生活や経済に影響を及ぼし、景気の下振れリスクが高まるとともに、場合によっては世界経済をも大きく揺るがす事態となると心配されるところであります。 先日、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置されましたが、状況はいかがでしょうか。 これらは当面の新宿区政に対し大きな影響をもたらすと同時に、当然のことながら新宿区政が大きな変化の影響を受けることから新しい時代の始まりであると考えますが、区長は新年に当たり、このような世の中の大きな動きの中、区政の当面とこれからの新しい時代の10年をどのように感じていますでしょうか。 また、このような時代にあるからこそ、これからの新しい時代の10年は真に財政の持続可能性というものが試されていると思いますが、併せて区長の御所見を伺えればと思います。 2番目は、東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシー創出についてです。 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に国や社会の流れを変え、また既存の流れを一層確かなものにすることなどもレガシーの創出であると考えます。 そのようなものの一つに受動喫煙防止があり、この受動喫煙防止は、今や確かで大きな流れとして新宿区のきれいなまちづくりに路上喫煙防止や歩きたばこ禁止につなげ、2020年の記憶として後世に引き継いでいかなければならないものの一つであります。 このように、オリンピック・パラリンピックでは、とりわけ、パラリンピックのマラソンなどがそうであるように、各地域でもさらなるバリアフリー社会の実現が目指されており、当区にあっても同様で、今議会に上程予定の「新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例」や、今後制定予定の「(仮称)新宿区手話言語及び障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例」などに見るように、この大会を契機として、条例化の下に、さらなる各施策の推進が図られており、施策の可視化が図られているところであります。 そして、令和2年度予算に計上の幼稚園や保育園に通う5歳児の子どもたちが競技観戦の機会を得る取組であり、区民の一人ひとりの記憶に残る取組もされています。 このような取組は、国においても、また他自治体においても、多くの事柄がオリンピック・パラリンピック大会を契機として新しく事業化されたり、これまでの施策がさらに進化したり、またコミュニティの深化につなげたりと、スポーツ競技の祭典というものにとどまることなく、広く社会を変えていく原動力・推進力となっていくと思われますが、このような視点からの新宿区の取組について区長の所見を伺えればと思います。 次に、子どもたちのレガシー創出の機会づくりとして、オリンピック・パラリンピックへの小中学生の積極的な参加についてです。 望むべくは、子どもたちが直接世界のトップ選手の競技を観戦して、オリンピック・パラリンピックを自らのものとして記憶にとどめるところであります。 しかし、そのことだけにこだわることなく、例えば新宿区独自のボランティアである「新宿2020サポーター」のように、直接的ではなくとも能動的な関わりを持ってレガシーとしていくことも一人ひとりの子どもたちの長い人生の中に、きっと思い出深い確かな記憶としてとどまっていくものと思いますが、このような観点からの取組としてはどのようなものがあるでしょうか。区長と教育委員会に伺います。 また、「新宿2020サポーター」の取組については、これまでのところどのような状況でしょうか、併せて区長に伺います。 3番目は、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援と、そのための連携体制の強化についてです。 今、核家族化や家族構成の変化、地域のつながりの希薄化などによる育児不安や産後鬱などの問題がしばしば取り上げられています。そのようなことから、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う取組は、まさに行政の果たすべき役割そのものであり、今日、その要請はさらに強まっております。 そのような中、新宿区では少子化の進む中にあっても、毎年2,600人を超える子どもが新たに生まれており、妊娠期からの支援や、区の総力を挙げた待機児童対策の取組が行われてきました。 子どもたちが健やかに育つ社会を地域が一体となって目指していくことが必要ですが、地域のつながりの希薄化や家族構成の変化などにより、子育ての孤立化による負担感は大きくなっていると言われます。 そのような中で、保護者の中にはインターネット情報に振り回され、その結果として混乱や誤解を招き、あるいは基本的な知識の欠如から、子育てのつまずきのリスクが高まっていると言われております。 特に妊娠期や出産前後は出産・子育てに不安を感じやすい時期であり、この時期の支援は母子の健康増進のみならず、虐待防止の観点からも重要です。 そこで、近年の妊娠期からの母子保健に関する区の取組と課題、そしてその対応方針について伺います。 次に、昨年12月17日には新宿文化センターで国の研究班によるシンポジウム「子育て世代包括支援センターで目指す妊娠期からの切れ目ない子育て支援」が行われ、我が国が目指す妊娠期からの切れ目ない支援について研究成果の報告や先進自治体の好取組の報告があり、新宿区も参加されたところではありますが、先進自治体の好取組としてどのような報告がありましたでしょうか。 次に、妊産婦等を包括的に支援する体制をさらに推進するため、母子健康包括支援センターの設置が改正母子保健法により法定化されたことを踏まえ、新宿区としても、これまでの取組を活かしながら区内の各地域で全ての妊産婦にきめ細やかな支援を行うことが求められます。 そのためには、母子保健サービスや子育て支援サービスを行う部署はもちろん、地域の関係団体や専門家などとの連携の強化、そして地域の人材の活用も図っていくことが必要と考えますが、産婦等を支えるために保健・医療・福祉に関する機関との連携をどのように図り母子保健サービスを充実させていかれるのか、これらのことに対する区長のお考えをお聞かせください。 4番目は、新宿中央公園の整備や東西自由通路の開通などと新宿駅周辺のまちづくりとの関係性等についてです。 今、新宿区では東京2020オリンピック・パラリンピックの開催までに幾つもの都市施設などの建設・整備が進んでいます。新宿駅周辺では新宿中央公園芝生広場における交流拠点施設整備、「東西自由通路」、「新宿駅東口駅前広場」の整備、そして、民間では「SOMPO美術館」や「新宿住友ビル・三角広場」の建設が急ピッチで進んでいます。 これらの施設整備が間もなく完了するところですが、これらの施設それぞれが単体で機能するのではなく、既存の施設や今後計画されているものなどとも融合しながら有機的につながって新宿のまちづくりに貢献していくものですが、新宿区民から見てどのようなまちづくりとなっていくものと考えればよいものなのでしょうか。 次に、新宿中央公園芝生広場における交流拠点施設整備事業に関連して伺います。 私は、新宿のオアシスは新宿駅を挟んで、東は新宿御苑であり、西は新宿中央公園であってほしいと常々思っております。そんな私は、春や秋などに上野公園の東京文化会館や美術館を訪れるときには、いつもその演奏や鑑賞の前後には、つい公園を散歩してみたい気持ちになります。 このたび、改正都市公園法により民間活力による新たな都市公園の整備手法として、公園の再生・活性化を推進する「Park-PFI(公募設置管理制度)」が創設されました。区としては、現在進めている新宿中央公園の交流拠点施設整備事業において、このPark-PFI制度をどのように活用されるのでしょうか伺います。 さらに、「SOMPO美術館」や「新宿住友ビル・三角広場」も交流拠点施設と同時期に新築オープンとなりますが、東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、このような文化施設などとどのように連携し、発信されていくのでしょうか伺います。 5番目は、新宿区を初めとした都心の上空を通って羽田空港に発着する新たな飛行ルートについてです。 令和2年の1月下旬の新聞折り込みに、「国土交通省からのお知らせです」として、その内容は「羽田空港における新飛行経路の運用開始に先立ち、2020年1月30日以降、実機飛行による新飛行経路についての確認を行います」というものがありました。 区には、このような実機飛行による飛行の状況について、区民の方々からどのような声が届いているのでしょうか。また、そのようなことに対してどのような対応を取られているのでしょうか伺います。 併せて伺いますが、区では騒音測定局による結果だけではなく、実際の騒音を確認されているのでしょうか。そして、その大きさについてどのように感じられているのでしょうかお聞きします。 次に、「羽田空港のこれから」のホームページから当日のデータを見ましたが、「騒音レベル」として表記されている数字がどのような意味や内容を持つものなのか正直よく分からないのが実情かと思います。改善の余地などがあるようにも感じますが、いかがでしょうか。 次に、実機飛行による騒音の状況を確認しましたが、区民への周知が欠かせません。そして、このことは運用開始までとその後においても引き続き欠かせないものと考えますが、これからのことに対する国の今後の進め方と新宿区の取組について伺います。 ◎区長(吉住健一) 永原議員の御質問にお答えします。 当面する区政の課題の幾つかについてのお尋ねです。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策本部の状況についてです。 区は、WHOによる緊急事態宣言や、国の指定感染症への指定を受け、2月3日に対策本部を設置しました。 現在、国内においても新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を受け、厚生労働省や文部科学省などから各自治体の関係部署に対し、日々、対応等に関する通知などが送付されています。 区では、区民の皆様に正しい情報を把握していただくため国からの通知等を全庁で共有し、組織的に対応する体制を構築しています。 また、感染が疑われる方を確実に医療機関につなげるため、帰国者・接触者電話相談センターを設置するとともに、本感染症に関する相談窓口などの情報については公式ホームページに掲載するほか、区有施設や町会掲示板等にポスターを掲出し、広く周知を行っています。 国内の患者発生状況等については日々変化していますので、今後も細心の注意を払い、国や都、医師会などと緊密に連携して、区民の生命と健康を守るため、感染拡大防止に全庁を挙げて取り組んでまいります。 次に、世の中の大きな動きの中にある区政の当面と、新しい時代の10年についてです。 今後、区政が直面する社会の動きとしては、先行き不透明な景気動向による区民生活への影響や、団塊の世代が後期高齢者となる超高齢社会の進展、多発する大型台風や切迫性が高まる首都直下地震への対応、急速な技術革新による生活様式の変化、インフラ・公共施設の老朽化などが挙げられます。 新しい時代の10年においては、こうした社会経済情勢の変化により行政需要が多様化・複雑化することが想定されます。 このため、区では、総合計画で掲げる「5つの基本政策」の下、PDCAサイクルの強化による事業の見直しや業務の効率化と生産性の向上、公民連携のさらなる推進などに取り組むことで、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立し、質の高い行政サービスを提供し続けていきたいと考えています。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックが社会を変えていく原動力・推進力となっているとの視点からの区の取組についてです。 区は、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機として、スポーツ関連事業だけでなく、「健康寿命延伸のためのウォーキングの推進」、「障害者差別解消の推進」、「障害者理解教育の推進」、「清潔できれいなトイレづくり」、「しんじゅく逸品の普及」、「華道、茶道等日本文化の魅力を伝える体験プログラム」、「平和啓発事業」、「男女共同参画の推進と多様な生き方を認め合う社会づくり」などを全庁にわたり新規に、または拡充して実施してきました。 このような取組により、スポーツの推進にとどまらず、幅広い分野で社会を変えていく原動力・推進力となっているものと認識しています。 また、後世につながる取組としては、これまで実施してきた事業のほか、今議会に上程している「新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例」や今後制定予定の「(仮称)新宿区手話言語及び障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例」を通じて、誰もが自分らしく生活できる環境づくりや共生社会の実現に向け取り組んでまいります。 さらに、大会開催時期に間に合うように取り組んでいる「新宿駅東西自由通路の整備」、「都市計画道路補助第72号線の整備」、「新宿中央公園の再整備」は後世に残る資産として、大会後も回遊性の向上やまちのにぎわいの創出に大きく寄与するものとなります。 また、「新宿2020サポーター制度」を初めとして、子どもたちが参加した各種イベントや学校教育を通じ、東京2020オリンピック・パラリンピックに関わった経験は、子どもたち一人ひとりの中に生涯の記憶として残っていくものと考えています。 これからもハード・ソフトの両面から大会のレガシーとして、長きにわたり後世につながる施策に着実に取り組んでまいります。 次に、子どもたちのレガシー創出についてです。 区では、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた気運醸成事業を通じて、子どもたちが生涯忘れられない体験や感動をもたらす機会を提供してきました。 まず、大会250日前などの記念イベントでは、世界で活躍したアスリートのすごさを子どもたちが目の前で体感できるスポーツ体験のほか、中学生による吹奏楽の演奏など、子どもたちがふだんの練習の成果を発表する場を設けてきました。 また、昨年の夏に実施した「チャレンジ!2020絵画コンクール」では、1,206名もの小中学生に御応募いただきました。この作品を活用して、大会開催までの日めくりカレンダーを制作したほか、現在、路上の配電地上機器に子どもたちの絵のラッピングを進めています。 今後実施する「新宿パレード2020」や大会開催期間中のコミュニティライブサイトなどのイベントにおいても、小中学生が主体的に参加できる機会を創出してまいります。 次に、「新宿2020サポーター」についてです。 「新宿2020サポーター」は、区や新宿未来創造財団が主催する東京2020オリンピック・パラリンピックを盛り上げるためのイベントにボランティアとして参加していただく制度です。これまでに、ラグビーワールドカップ・パブリックビューイングや大会250日前記念イベントなどにおいて、イベント受付や体験ブースの運営などで多くのサポーターの方に御活躍いただいており、サポーターとして参加した方からは、「オリンピック・パラリンピックに関係するイベントに自分も携わることができてよかった」との声を頂いています。 現在、登録者数は352名となっており、このうち37名が中学生です。今後も中学生を初めとして、多くの区民の皆さんに東京2020オリンピック・パラリンピックに関わったという経験を味わってもらえるよう、新宿2020サポーター制度の周知と、記憶に残るような活動機会の提供を進めてまいります。 次に、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援と、そのための連携体制の強化についてのお尋ねです。 妊娠期からの母子保健に関する区の取組と課題、対応方針についてです。 区では、出産・子育て応援事業「ゆりかご・しんじゅく」による妊婦との面談に始まり、母親・両親学級、すくすく赤ちゃん訪問、乳幼児健診などの機会にリスクを把握し、支援を行っています。 こうした中でリスクが低いとされていた方がリスクの高い状態に変化したときに、いかにタイミングよく状況を把握し、必要な支援を行えるかが課題となっています。 そのため、妊婦と区が初めて接する「ゆりかご・しんじゅく面談」で、区が子育てに寄り添う身近な相談窓口であることを感じていただけるよう心がけ、必要なときに必要な母子保健事業や子育て支援事業につながるよう支援していきます。 次に、国の研究班によるシンポジウムにおける研究成果や好取組の報告についてです。 昨年12月に行われたシンポジウムでは、全ての子どもが健やかに育つために、個別対応だけでなく予防的な視点も持って、妊娠期から子育て期にわたるまで切れ目のない支援を行うために、「子育て世代包括支援センター」が役割を担うことを再確認することができたとの報告を受けています。 また、事例紹介では、それぞれの自治体の実情に合わせた方法で、地域資源を活用し、工夫を重ねて、子育て世代を包括的に支援していることが紹介されたとのことです。 次に、妊産婦を支えるための保健・医療・福祉に関する機関との連携と母子保健サービスの充実についてです。 区では、これまで様々なリスクや問題を抱える妊産婦について、保健・医療・福祉に関する機関が連携しながら継続的に支援してきました。 今後、母子保健サービスの窓口である保健センターと健康づくり課に「母子健康包括支援センター」を設置するとともに、「新宿区子ども家庭・若者サポートネットワーク」に子育て世代への包括的な支援を推進するための新たな部会を立ち上げるなどの準備を進めたいと考えています。 この部会では、母子保健の視点も取り入れ、子育て支援部門との協働により、妊産婦を支える地域の包括的支援体制の一層の推進を図ることを目指していきます。 また、母子保健サービスの充実については、既存の母子保健事業の内容を再点検、再構築するとともに、必要な支援サービスを検討し、妊娠期から子育て期にわたり、全ての方に対し切れ目のない支援ができるよう努めてまいります。 次に、新宿中央公園や東西自由通路などと新宿駅周辺のまちづくりとの関係性についてのお尋ねです。 新宿駅周辺地域は、日本有数の商業・業務・娯楽など特色ある地区が隣り合い、こうした多様性と各地区を行き交う多くの人々が新宿のまちの原動力となっています。 御指摘のとおり、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催までに、新宿中央公園の交流拠点施設や「SOMPO美術館」、「新宿住友ビル・三角広場」が完成するほか、「東西自由通路」の開通や「新宿駅東口駅前広場」の整備により、まちの魅力が高まるとともに、歩行者の利便性と回遊性が大きく向上します。 また、新宿駅直近地区では2040年代を見据えて、駅、駅前広場、東西のまちをつなぐ新たな人工地盤、駅ビル等の一体的な再編整備を進めています。 新宿駅周辺地域において、こうした特色ある取組が相互に連携し、調和の取れたまちづくりを推進することで、歩きやすく快適な歩行者空間が形成され、洗練された都市空間の充実が図られることにより、新たなにぎわいや魅力が創出されます。 さらには、新宿駅周辺のにぎわいや消費活動などが区内全域へと波及し、新宿全体のブランド力を向上させ、誰もが愛着と誇りを持てるまちの実現へとつながるものと考えています。 次に、新宿中央公園芝生広場における交流拠点施設整備事業についてです。 御指摘の「公募設置管理制度」、いわゆる「Park-PFI」は、平成29年の都市公園法改正に伴い創設された制度です。 この制度は、公募により選定した民間事業者が飲食店等の公園利用者の利便向上に資する施設を設置するとともに、その施設から生じる収益を活用して公園施設の整備を一体的に行うことなどを条件に、許可期間などの特例を与えることで民間活力による公園の活性化を推進する取組です。 現在、新宿中央公園で進めている交流拠点施設については、新宿区がPark-PFIを都内でも先駆けて導入したもので、同時にオープンする芝生広場と一体となって公園の新たな魅力を生み出し、より多くの来街者を呼び込めるものと期待しています。 また、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向け、御指摘のように、「SOMPO美術館」や「新宿住友ビル・三角広場」が同時期にオープンします。今後、こうした文化施設等と連携したイベントやプロモーション等を検討し、公民が連携して発信することで西新宿全体のにぎわいや回遊性の向上につなげていきたいと考えております。 次に、新宿区を初めとした都心の上空を通って羽田空港に発着する新たな飛行ルートについてのお尋ねです。 初めに、実機飛行確認に対する区民の声とその対応についてです。 国は、管制官による新飛行経路の運用手順の確認と、新たに設置した騒音測定局の機器調整を目的として、定期便による実機飛行確認を行いました。 区上空を飛行する実機飛行確認は、2月2日から南風時の7日間実施され、2月12日に終了しています。 区には、実機飛行確認の時間帯や経路などへの質問や、航空機騒音への苦情、防音対策等への要望、安全性に対する心配や不安など様々な声が寄せられています。 区に寄せられた意見や要望等については速やかに国に伝えるとともに、区としても重ねて騒音対策・安全対策の徹底、丁寧な説明と正確な情報提供を強く要望しているところです。 次に、実際の騒音を確認しているか、どのように感じているかについてです。 区では、実機飛行確認に併せて騒音測定局の設置場所である落合第二小学校屋上や、新飛行経路下である落合、北新宿、西新宿地域を中心に担当課が歩きながら騒音状況を確認しました。 担当課からは、小型機や中型機の音は比較的小さく感じられたものの、大型機については音が大きく感じられたこと、想定より機体が大きく見えたことなどの報告を受けています。 こうした現場の実感を国に率直に伝え、一層の対策を要望しているところです。 次に、国が航空機騒音測定結果を公表しているホームページの改善についてです。 国が公表している航空機騒音測定結果については、区民からも「分かりづらい」との意見が寄せられており、区としても改善の余地があると考えています。そのため、より分かりやすい解説をホームページに加えるなど、既に国へ改善を要望しているところです。 次に、区民への一層の周知についてです。 国は、新飛行経路の運用に向け、昨年の12月に新宿駅西口広場イベントコーナーで第6フェーズのオープンハウス型説明会を開催しました。あわせて、チラシの新聞折り込みや電車広告、インターネットなど様々な周知を行っていますが、今後も区民への一層の周知が欠かせないものと認識しています。 国は、運用開始後も、騒音対策や落下物対策の取組状況についてさらなる情報提供を図っていくとしていますが、区では、丁寧な説明や様々な手段を通じた周知、正確な情報提供に努めるよう、引き続き国に要望してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 子どもたちのレガシー創出のための取組についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、東京2020オリンピック・パラリンピックへの積極的な関わりが子どもたちにとって貴重な財産となるよう様々な機会を設け、多様な取組を行っています。 平成28年度から小学校5・6年生及び中学校1・2年生を対象に「英語キャンプ」を実施し、キャンプ終了後には、参加児童・生徒が外国人観光客に対し新宿のお勧めスポットを紹介するなどの都市ボランティア体験を行い、英語を用いたコミュニケーションを通して、おもてなしの心を育む活動となるようプログラム内容を工夫しながら実施しています。 また、今年度は英語キャンプとは別に、中学生全学年を対象とした「東京2020おもてなしボランティア体験」事業として、新宿御苑や新国立競技場周辺において、外国人観光客に対して東京2020オリンピック・パラリンピックに関するインタビューや観光案内などを行うことで、東京2020オリンピック・パラリンピックに関連した一つの思い出となる機会を設けました。 さらに、区立中学校・新宿養護学校の生徒会が主体的に企画・運営する東京2020オリンピック・パラリンピックに関連した学校行事や地域団体などとの連携事業など全17事業を実施することで、東京2020オリンピック・パラリンピックの目前に、地域と協働してボランティア事業に取り組んだことが子どもたちの一生の思い出となるよう支援を行っています。 加えて、教育委員会では、東京2020オリンピック・パラリンピックにおける子どもの競技観戦をこれまでのオリンピック・パラリンピック教育の集大成と捉え、競技観戦が子どもたちにとって大会後もレガシーとして心に残る活動となるよう、各校に対して競技観戦に向けた事前学習を計画的に進めていくよう働きかけています。 ○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。 △休憩 午後0時05分--------------------------------------- △再開 午後1時19分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆13番(永原たかやす) それでは、再開させていただきます。 2、区財政について。 最近の国内景気について内閣府の1月の月例経済報告では、「景気は輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」とし、先行きについては「当面、弱さが残るものの、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、幾つかの動向に留意する必要がある」としております。 このような景気判断がある中で、世界を震撼とさせる新型コロナウイルスによる肺炎が世界に広がっている問題は、今後の世界経済に大きな影を落としかねないものであり、当然のことながら、日本経済をも巻き込み、新宿の地域経済にも少なからず影響を与えるものと思われます。 この新型コロナウイルスが与える社会経済への影響については国もいろいろと対応しておりますが、その一方、自治体としての新宿区として地域経済への影響、とりわけ中小企業等に対する影響をどう見ていらっしゃるのか。さらには、中国を初めとしたインバウンドの減少が地域経済にもたらす影響についてもどう見ていらっしゃるのか伺います。 次に、令和2年度予算編成について伺います。 今年の1月17日で6,434人が犠牲となられました阪神・淡路大震災から25年を迎えました。また、昨年は台風15号や19号による豪雨や台風災害など、被害の大きい自然災害の目立った年でありました。 国では、本年1月30日に成立した令和元年度の補正予算の歳出総額は4兆4,722億円で、台風15号・19号等の自然災害からの復旧・復興や防災・減災対策などとして約半分が計上したところであり、当区においても同様に、台風第15号、または第19号による住宅被害に対する緊急対策として、被害を受けた住宅の補修工事についての補助金交付の「住宅被害対策支援事業」に係る補正予算が昨年の12月27日に成立しているところであります。 そうした中での令和2年度予算編成でありましたが、昨年の自然災害を教訓とした災害に強いまちづくりというところからの対策として防災・減災、そして肝心なのは予防対策でありますが、新年度予算にはこれからのことについてどのような視点からどのような予算づけをされているのか伺います。 次に、一般会計の歳入予算における一般財源のうち最も安定的かつ構成比の高いものが特別区税でありますが、この特別区税に大きな数字の動きが見られます。 すなわち、特別区税の一般会計に占める割合そのものは、ここ5年で見ると29.7%、30.9%、31.7%、32.5%、32.0%となっていて、令和2年度は初めて対前年度比を下回る構成比となっているものであります。 同様に、特別区税自体の推移を見てみますと、令和2年度の対前年度比で3億円の増で、その率は0.7%となっているのであります。この間の4年間は、金額、率とも前年度比で伸びていたものが令和2年度において大きく傾向を変えているものであります。 これが今後の転換点となるかどうかは分かりませんが、令和2年度の特徴は2つあります。 1つが特別区税の90%を占める特別区民税の対前年度比の伸びが4.5%から3.1%に大きく落ちていることであり、2つ目が特別区たばこ税の対前年度比伸びがマイナスの18.0%、10億円の減となっていることが大きく起因していると数字からはうかがえるのですが、このような一般会計に占める特別区税や特別区民税などの動きをどう分析され、これらのことの今後の推移をどのように見ていらっしゃるか伺います。 次に、財政調整基金残高や基金現在高が過去最高の状況にあることから、もっと基金活用を図るべしというような議論もあるようですが、私たちの見解は次のようなものであります。 1つとして、一般会計において財政調整基金繰入金を計上しないと歳入予算が組めないこと。同様に、国民健康保険特別会計においては、一般会計繰入金の計上がなければ歳入予算が組めないことです。 2つとして、平成20年度の財政調整基金残高は264億円で、全会計の当初予算1,795億円の14.7%であるが、平成30年度のそれらは303億円で、2,159億円の14%と財政規模を考慮するとき、必ずしも過去最高の状況とは映らないものであります。 同様に、平成20年度の基金現在高総額は608億円で、全会計1,795億円の33.9%であるが、平成30年度のそれらは532億円で、2,159億円の24.6%と約10ポイント低い率となっているのであります。 これらの数値を見る限り、新宿区の現在の予算規模等を考慮するとき、過去に比べ低い状況にあり、決して楽観視できる状況にはありません。 3つとして、財政の硬直化傾向の改善は必ずしもはかばかしくない現状があること。 4つとして、新宿区財政を取り巻く環境も大きく異にする状況があります。今日の世界がグローバル化する中にあっては、社会経済状況のみならず、自然環境問題などにおいても不測の事態に備えることが必要であること。 以上のことなどから、区財政の現状では基金の積み増しの必要性というものは高まりこそすれ、低まることはないものと考えておりますが、区長の御所見を伺いたいと思います。 ◎区長(吉住健一) 区財政についてのお尋ねです。 初めに、新型コロナウイルスが与える地域経済への影響、とりわけ中小企業等への影響とインバウンドの減少が地域経済にもたらす影響についてです。 区内中小企業等への影響としては、中国からの輸入による原材料や部品の調達への懸念や、輸出による売上げの減少など、人や物の移動への影響が地域経済全体へも影響するものと考えており、その動向に注視しているところです。 インバウンドの減少については、日本旅行業協会によれば、中国政府による海外への団体旅行の禁止措置が始まって以降、中国からの訪日旅行客のキャンセルが相次ぎ、3月末までで40万人に上る見通しであると報道されています。中国人観光客の減少は、中国からのインバウンドが好調であった新宿区の地域経済において大きな影響を及ぼすものと考えています。 こうした影響がいつまで続くのか見通しが立たない中で、区内中小企業の皆様が安心して事業を継続していただけるよう、新型コロナウイルスに関する中小企業支援策について区ホームページで御案内するとともに、新宿区商店会連合会及び東京商工会議所新宿支部に周知しているところです。 具体的には、制度融資による資金繰り援助や経営に関する相談を実施していることや、国や東京都、関係機関が行う各種相談窓口や融資制度を併せてお知らせしています。また、今後国が実施する経済施策についても随時区ホームページへ掲載していきます。 今後も新型コロナウイルスが地域経済にもたらす影響をしっかり見極めながら、個々の企業への支援をきめ細やかに進めてまいります。 次に、令和2年度予算における災害に強いまちづくりについてのお尋ねです。 近年の大型台風による被害や首都直下地震の切迫性も高まる中、区はこれまで以上にスピード感を持って取組を進めていく必要があると認識し、予算に反映いたしました。 災害に強い体制づくりとしては、台風19号の際に自主避難所でも課題となった、災害時に特に配慮を必要とする方に対し、「要配慮者災害用セルフプラン」の普及啓発を進めるとともに、作成を支援します。 また、本年3月に策定する新宿区災害時受援応援計画に基づき、人的・物的支援の受け入れ態勢を整えるとともに、アルミ製折り畳み式リヤカーを新たに配備し、災害時の物資運搬体制を強化します。 さらに、災害時における対応力を高めるため、新宿区地域防災計画の見直しを行います。 災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりでは、建築物等の耐震化の推進について耐震改修工事への助成を拡充し、分譲マンションの耐震化を促進します。 また、ブロック塀の安全化対策について、区内全域の道路沿いで個別訪問等による指導を実施します。 これらの施策を総合的に推進し、災害に強い、逃げないですむ安全で安心なまちの実現に向けて取組を進めてまいります。 次に、令和2年度予算における特別区民税を初めとした特別区税の動きについてです。 特別区民税について新宿自治創造研究所が公表した「住民基本台帳に基づく新宿区将来人口の見通し」の増加率や直近の実績を基に、納税義務者数は令和元年度当初予算策定時と比べて3,194人増と見込みました。また、区民総所得金額は各種経済指標や過去の実績等を踏まえて、対前年比2.3%増と推計しました。 一方、ふるさと納税による減収額は8億2,000万円増の26億円と、引き続き大きな影響を見込んでおります。 これらを基に、令和2年度の特別区民税を対前年度3.1%増の431億円と見積もったものです。 特別区たばこ税については、健康志向の高まりによる喫煙率の減少や、昨年10月頃まで売渡本数を伸ばしていた一部小売事業者の実績が大幅に減じたことなどにより、令和元年度当初予算比で10億円減の47億円と見込みました。 なお、令和3年度以降の特別区税の見通しについては、今後の経済状況に大きく左右されるところから不透明であり、楽観視できないと考えています。 次に、区財政の現状における基金の積み増しの必要性についてのお尋ねです。 我が国の経済情勢を見ると、国は1月の月例経済報告で、「景気は、緩やかに回復している」としているものの、「一部で弱さが見られる」と判断しており、引き続き海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向等に留意するよう指摘しています。 2月17日の2019年10月~12月期のGDP速報値では、消費税率引上げ前の駆け込み需要の反動減や、大型台風と暖冬による個人消費の落ち込みが示されています。 また、新型コロナウイルス感染症の経済への影響なども懸念されます。 こうした中、区財政は一定の財政対応力を確保しつつありますが、経常収支比率は依然として適正水準を超えており、区の財政構造は決して弾力性があるとは言えません。 また、国による不合理な税制改正や、ふるさと納税による特別区民税の減収などの影響に加え、区税等の一般財源に大きな伸びが期待できない中、社会保障関連経費や物件費の増加、公共施設の老朽化などが今後の財政需要に大きな影響をもたらすと想定され、決して楽観視できる状況ではありません。 区の基金残高は平成20年度末に最大となりましたが、リーマンショック発生後、平成21年度から5年間で262億円の減となりました。平成26年度以降は順調に税収を得られた結果、基金を積み立てることができ、生活実習所や牛込第一中学校の建て替えを決断することができました。 一方、一般会計予算も義務的経費の増加傾向もあり、3年連続で過去最大の額を記録しています。 そのため、特別区税などの一般財源は増収が見込まれるときには基金へ積み立て、将来経済変動が発生したときでも良質な区民サービスを提供できるよう、また災害時にも適切な対応が取れるよう備えることが重要であると考えています。 ◆13番(永原たかやす) 3番、民間コンテンツを活用した区政や地域情報サービスの充実について。 2019年に発生した台風15号・19号は、新宿区内においても倒木被害や浸水などの被害が生じました。温暖化などの影響により、その被害は年々大きくなる傾向にあります。 災害時において区民が一番望むことは、自分がいる地域や場所が安全なのか、避難すべきかなど極めて局地的であり、リアルタイムな情報です。 災害発生時に自分がどういう行動を取ればよいかを判断するため適切な情報を得る必要がありますが、公の発信に加え、一次情報を集積した情報は強みになります。 新宿区のホームページにおいて更新された情報を随時確認することが望ましいですが、通常時の何倍もの人が閲覧しようとしてサーバーに負担がかかり、ページを限定して災害モードで必要な情報に限っても表示できない事例が報告されています。 NHKで2019年11月6日に放送された「自治体のホームページが…」によると、特別警報が出ていた自治体で「ホームページがつながりにくい」という投稿が寄せられていた自治体は53で、特に東京23区で最大の約90万人が暮らす世田谷区では台風が目前に迫った当日の午前中に3割の約27万アクセスがあり、突然ホームページがダウンしたとのことです。 現代において、自治体のホームページは多くの情報を欲しい人にピンポイントで届けることができることから、今や災害時には重要な情報発信ツールになっています。 新宿区では災害時に通信量を大幅に減らすことができる災害時モードに対応していることは評価すべき点だと思います。 新たなコストがかかりますが、さらに回線やサーバーを増強し、分散させることによるリスクヘッジすれば、通信負担を大きく減らすことができると考えられます。 まず、新宿区においてはサーバーをダウンさせないためにどのような対策、新たな投資などをされているかを伺います。 あわせて、冒頭に申し上げた区民が一番望む「自分がいる地域や場所が安全なのか」、「避難すべきか」などの極めて局地的でリアルタイムな災害情報の発信についてどう対応されているかお聞かせください。 また、新宿区の役割として重要なことは、区民の生命と区民の財産を守ることだと思いますが、それらを阻害する要因を排除すること、または回避するための情報を短期間で行政が全て集積し把握することは事実上不可能であり、情報収集の一部と一次情報を有する個人やバックアップ機能などを民間企業に託し、情報の精度を上げる努力を行うことが必要であると考えます。 情報発信は災害時こそ最大の威力を発揮しますが、通常時においても地域コミュニティの活性化、町会などへの参加の促進などにも力を発揮します。 現在、新宿区区政情報課では、ツイッターやフェイスブック、新宿区地域ポータル「しんじゅくノート」などで区に関する様々な情報を発信しており、区民からの評価も高いコンテンツです。 また、町会にも御協力いただき、委託掲示板を通しての区からの情報発信や町会独自の掲示板で新年会やおみこし、餅つき、旅行会等の地域情報の発信もしていただいていますが、「町会に未加入の若年層には情報が届きづらい」、また「いきなり電話や面会をしてまで情報が聞きづらい」という話も聞いています。このような中、ホームページの作成に取り組む町会もありますが、それも少数です。 内閣府の「社会意識に関する世論調査」(2019年)によると、「都市への移住の増加や少子高齢化などの様々な要因により地域コミュニティが衰退しており、御近所付き合いがない人が増加している一方で、「地域でのつながりが必要」と考えている人は98.7%となっており、御近所付き合いはないが、地域コミュニティへのニーズは浮き彫りとなっている」とあります。 一方、町会でも、「若い人が来ない」、「次の時代を担う後継ぎがいないから町会活動を継続するのが困難だ」という声を多くの町会からお伺いしています。 若い世代が参加している町会の特徴として、町会や地域でSNSをやったり、グループLINEがあり、小まめに情報を発信しているという特徴が見られます。 また、区境に近い住民から、「隣の区のイベントにも参加したい」、「災害時において、なぜ隣の区は避難勧告が出ているのに新宿区では出ていないのか」、「川の水位が気になる」など、区を越えて情報の発信を求める声も強く頂いております。 区単位の情報ではなく柔軟にエリアを指定し、ジャンルにとらわれない情報を得ることができれば、本当に自分が必要としている情報を早く簡単に探し出すことができます。 さらに、情報は集積があれば、ねずみ算的に増えることから、気象予報会社や定点カメラの映像、コミュニティSNSとの連携も考慮し、全ての区民にとって利便性の高い総合的なコンテンツを提供することで、区民が端末を通し情報を容易に得ることができるようになります。 行政では手が届きにくい幅広い情報を集積するためには、民間のSNSに協力を仰ぎ、区がサポートすることで区民へのより細やかな情報発信のサポートと情報発信のリスクヘッジができるのではないかと考えています。 2020年1月29日付の東京新聞に「三島市が「マチマチ」活用 県内自治体初 地域情報を発信」という見出しで、1月24日に静岡県三島市と民間のSNSの「マチマチ」が協定を締結し、連携を開始したことが取り上げられました。 このように民間でできることは民間に任せ、足りない部分を区が補うウィン・ウィンの体制が構築されれば情報量が必然的に増えること、新宿区区政情報課からの発信は区民にとって重要性が高いものに専念できることから課の負担が軽減されること、課の上げた情報がアクセスの集中などの不測の事態で万が一公式サイトを見ることができない状況に陥ったとしても、民間のサイトで間接的に確認できれば、備えとして区民の安心度が高まることは間違いありません。 また、より多くの地域からの情報提供を促すために、情報提供者からファクスやメールなどから情報提供を簡単に行えるようにフォーマットを作ることや、LINEやフェイスブックによる情報提供、シルバー人材や学生などの活用による地域への足を使った聞き込みによる情報収集、子育て世代の合間時間を活用した在宅での情報打ち込み作業など、区民や区に関係する多くの人が関わる共同参加型の仕組みを構築し、行政の負担を増やすことなく常に新しい情報を入れ続ける体制をつくる必要があります。 区民や区に関する多くの人への情報発信に対して現状どのような課題があるか、民間活用による行政の負担軽減や業務内容の変換、移行についてどのような見解がおありか伺います。 ◎区長(吉住健一) 民間コンテンツを活用した区政や地域情報サービスの充実についてのお尋ねです。 初めに、台風等の災害発生時に公式ホームページのサーバーをダウンさせないための対策や新たな投資についてです。 御指摘のとおり、台風19号が最接近した際には、区の公式ホームページへのアクセスが集中し、つながりにくくなったことから、通信量を大幅に減らすことができる災害モードに切り替え、可能な限りホームページをダウンさせないよう対応しました。 一方、区では従前より公式ホームページの業務継続性の向上を目的として、安定したサーバー運用を可能とし、セキュリティも確保されるクラウドサービスの利用について検討を進めてまいりました。 これまで区のデータセンターにて運用していた公式ホームページ用のサーバーのクラウド化により、発災時の過度なアクセス集中による通信回線の逼迫にも対応できるほか、東日本と西日本のクラウド上にそれぞれサーバー配置することが可能となるため、災害時のサーバーのダウン対策としても十分に効果が期待されるものです。 この取組は昨年12月に完了し、現在、区の公式ホームページは発災時の業務継続性の向上や情報提供の安定化が図られていると考えています。 次に、局地的でリアルタイムな災害情報の発信についてのお尋ねです。 現在区では、震災時や水害のおそれがある場合には、防災行政無線、公式ホームページやSNS、エリアメールなどを活用して区民へ情報を伝達することとしています。 特に風水害時の情報伝達については、地域特性を踏まえた事前広報が重要であることから、区内102か所に設置している防災スピーカーはそれぞれ個別に放送できますので、災害発生のおそれがある場合は地域を限定した放送を実施していきます。 また、防災気象情報メールの利用者へは、新宿区の地域に特化した雨量、河川水位情報、警報・注意報などもリアルタイムでお知らせしています。 さらに、NTTドコモなどの携帯電話事業者4社からエリアメールを配信するためのIDとパスワードを取得し、災害時などには区内全域に注意喚起や避難勧告等を配信できる体制を整えています。 これらに加え、ケーブルテレビによる新宿区限定の災害情報等の伝達について、現在、J:COMと協定提携の協議を進めています。 今後も台風や大雨等の発生時に、区民の皆様が適切な行動がとれるよう、防災気象情報メールの登録を促進するとともに、新たな伝達ツール等について研究してまいります。 次に、区民や区に関係する多くの人への情報発信についてのお尋ねです。 区は現在、広報紙のほか区ホームページ、SNSなどで区の制度やサービスの情報を発信していますが、地域のイベント情報や災害時の現場の状況など、エリアごとのより細やかな地域情報について区が一元的に管理し、リアルタイムで発信することは現実的に難しいと考えています。 こうしたことから、町会の取組や行事など地域の情報を地域自らが発信するための支援として、町会・自治会を対象にブログやフェイスブックの作成入門講座を行い、これまでに延べ80の町会・自治会に参加いただいています。 また、区町会連合会自らが情報発信を行うホームページ「シンジュクイレブン」を区ホームページにリンクし、アクセスできるようにしています。 地域が主体となった情報発信は、生活に密着した情報や災害時のリアルタイムな情報を発信できるメリットがある一方で、継続的に情報更新していくことの難しさや地域での利用が広がっていかないなどの課題があります。 また、まちのお店や施設、地域のサークル活動など、行政では発信し切れない地域情報を集約して掲載している「しんじゅくノート」を区ホームページにリンクし発信していますが、住民同士で活発な情報交換を行えることが重要であり、御指摘のようなSNSを活用した仕組みも必要であると認識しています。 このため、今後は「マチマチ」なども含め、民間情報ツールの有効活用を検討し、行政の負担軽減や住民同士が情報を共有できる仕組みづくりに努めてまいります。 ◆13番(永原たかやす) 4、マイナンバーカードの普及について。 国は、公正・公平な社会の実現、国民の利便性の向上、行政の効率化を実現するための社会基盤づくりを目的として、マイナンバー制度を2015年10月5日に始め、2016年1月からマイナンバーカードの交付を開始しました。 マイナンバー制度の運用開始により、児童手当や介護保険など1,200以上の行政手続において情報連携がなされており、今後も年金関係など1,000以上の行政手続が順次加わることが想定されていることから、提出書類等の削減等により、本制度は国民の負担軽減や利便性の向上につながるものと言えます。 また、マイナンバーカードは本人の申請により交付され、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な身分証明書として利用できます。就職、転職、出産育児、病気、年金受給、災害等において複数の身分証明書を提示することなく、マイナンバーカードを提示することで本人であることを証明することができます。 さらに、政府のデジタル・ガバメント閣僚会議は、2019年6月にマイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用に関する方針において、マイナンバーカードを健康保険証として利用可能にすることを決定しました。 このような便利なマイナンバーカードですが、普及率が伸び悩んでおり、2020年1月20日現在、全国での交付率は15%、新宿区においては全国を上回ってはいるものの21.4%の交付率にとどまっている状況です。 区民の皆様からは、「マイナンバーカードのメリットがよく分からない」、「カード自体のセキュリティに不安がある」、「手続の仕方が分からない」などのお声を頂くこともあります。 そこで質問ですが、区民の方々がマイナンバーカードを作るメリットはどのようなものがあるのか、カード自体のセキュリティはどのようになっているのか、そして新宿区はより積極的にカードの普及促進を進めるべきと私は考えますが、今後どのように普及活動に努めていかれるのかお伺いします。 また、いわゆるマイナポイント事業が来年度から始まると報道されていますが、この制度の概要及び区の対応についてお伺いします。 ◎区長(吉住健一) マイナンバーカードの普及についてのお尋ねです。 初めに、区民の方がマイナンバーカードを作るメリットについてです。 マイナンバーカードを作ることでパスポートの新規申請や金融機関における口座開設などの際、身分証明として利用できることや、カードを用いて自宅等でe-Tax(国税電子申告・納税システム)等の電子申請が可能となるなど様々なメリットがあります。 また、カードをお持ちの方はコンビニエンスストアのマルチコピー機で住民票の写しなどの証明書を区の窓口より低額で取得することもできます。 そして、令和3年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになるなど、その利便性は今後さらに高まる予定です。 次に、カード自体のセキュリティについてです。 まず、カードのICチップ内には住所・氏名などのカードに記載されている事項と暗証番号や電子証明書など必要最低限の情報のみが記録され、税情報などプライバシー性の高い個人情報はカードには記録されないこととなっています。また、暗証番号の入力を一定回数以上間違えた場合にはカードがロックされるほか、ICチップ内の情報に不正にアクセスされた場合、自動的に内容が消去される等の対策が取られています。 そして、マイナンバーを利用するサービスごとに暗証番号等のアクセス権を設定することにより、個人情報へのアクセスを制御しています。 このほか、カードの両面に偽造防止の工夫を施すなど、様々にセキュリティ対策が実施されています。 次に、マイナンバーカードの普及促進についてのお尋ねです。 区は、これまでも多くの区民が集まる「地域センターまつり」や「若者のつどい」等の様々なイベントで普及のチラシやグッズを配布するなどマイナンバー制度を周知してまいりました。また、本年3月末に自動交付機サービスが終了することから、サービス利用者に対しコンビニ交付サービスの案内を通知するとともに、マイナンバーカードをお持ちでない方へカードの申込書を同封するなど、普及促進に努めてきています。 御指摘のとおり、全国を上回る交付率にはあるものの、「カードの申込み手続の仕方が分からない」、「手続が煩雑だ」等の意見も頂いています。そのため、令和2年度からは、本庁舎においてマイナンバーカード申請専用のタブレット端末を用いた写真撮影などの「申請補助サービス」を新たに実施し、申請しやすい環境を整えます。 また、区民の方がお住まいの近くで気軽に申込みができるように、年間100日程度、同様のサービスを特別出張所やイベント等において実施いたします。 これらの取組を通じてマイナンバーカードの普及促進を進めてまいります。 次に、マイナポイントに関するお尋ねです。 マイナポイント事業は、ポイントを活用し、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的としています。 マイナンバーカードにマイキーIDを設定した上でキャッシュレスでチャージ、または買物をすることにより、令和2年9月~令和3年3月までの間、チャージまたは買物分の25%、上限5,000円分をポイントとして取得できます。 マイナポイント事業の対応として、区では本庁舎及び各地域センターに設置しているマイナポータル機器でマイキーIDを設定できるよう環境を整えているところです。 ◆13番(永原たかやす) 5、若年層への創業機運醸成について。 今、男子高校生の間で起業が人気であると聞くと、驚く人もいるかと思います。ソニー生命保険株式会社では、2019年6月25日~7月2日の8日間、全国の中学生・高校生に対し、「中高生が思い描く将来についての意識調査」をインターネットリサーチで実施し、高校生800名の有効サンプルの集計結果を公開しました。 男子1位「ITエンジニア・プログラマー」20.8%、2位「社長などの会社経営者・起業家」16.8%、3位「YouTuberなどの動画投稿者」12.8%、4位「ゲームクリエイター」12.3%、5位「ものづくりエンジニア(自動車の設計や開発など)」11.3%となり、女子1位「公務員」15.0%、2位「看護師」11.0%、3位「歌手・俳優・声優などの芸能人」8.8%、4位「カウンセラーや臨床心理士」8.5%、5位「会社員」8.0%となっています。 2017年の調査結果と比較すると、男子高校生では10位圏外だった「社長などの会社経営者・起業家」が2位となり、近年、起業家を目指したいと考える男子高校生が増えているとデータから読み取ることができます。それほど男子高校生の意識が変わった背景には、企業に属して働くことへの考え方の変化、グローバル化に伴う労働賃金の低下、働き方改革の浸透などが考えられます。 また、2014年秋にオックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン博士は、米国労働省が定めた702の職業を分析し、米国の雇用者の47%が10年後には職を失うと結論づけ、今後10年~20年程度の間でAI(人工知能)や産業用ロボットの発展や進化により自動化される仕事、機械に取って代わるためになくなる可能性があると発表しました。 すなわち、AI(人工知能)には代替困難な、機械的な分析だけでは容易に理解できない「他人の気持ち」を理解できること、いわゆる創造性や独創性が問われ、他人への人間的な理解が問われること、あるいは前提となる仕事がこれからも必要であると考えられます。 このような状況を踏まえ、シンガポールやマレーシア、香港など経済発展が著しい国や地域で行われている児童や高校生への教育は、高い専門性を持つスタートアップの基礎教育であり、起業だけでなく事業譲渡、企業買収、事業承継、投資などにも及びます。これはスタートアップだけが起業の形態ではないことを教えるためです。 我が国の状況を見ると、2014年1月20日に施行された産業競争力強化法では、地域の創業を促進させるため、市区町村が民間の創業支援事業者である地域金融機関、NPO法人、商工会議所・商工会等と連携してワンストップ相談窓口の設置や創業セミナーの開催、コワーキング事業等の創業支援を実施する創業支援事業計画を策定することを求めており、2018年7月9日に施行された改正産業競争力強化法では、開業率のさらなる向上を目指し、創業支援事業の概念を拡大させて新たに「創業支援等事業」と規定し、創業支援等事業に創業に関する普及啓発を行う事業(創業機運醸成事業)も含めることとしています。 ここで質問ですが、新宿区では創業セミナーや創業機運醸成事業にどのように取り組んでいて、また本年度の実績はどのようなものでしょうか。 新宿区は先月28日に東京商工会議所新宿支部との共催で「SHINJUKU DREAM ACTIVATION2-U35新宿ビジネスプランコンテスト」ファイナルイベントを開催し、私も見させていただきましたが、若者たちが社会課題をしっかりと捉え、すばらしいビジネスプランを発表していました。 現在、区内在住の多くの投資家は、得た資金の投資先がないと言います。だからこそ、創業支援を強化することで、新宿区の人口の約12%が外国籍の人々である多文化共生社会において時代に即した新たなニーズと雇用を生み出し、世界に通用する新宿区発のグローバル企業を量産し、新宿区民に利益を還元する仕組みをつくり上げていくことが必要です。 「新宿ビジネスプランコンテスト」は多くの起業家や投資家の方々からも高評価を得ていますので、今後投資家が積極的に投資したいと思える環境も整備していっていただきたいと思います。 また、我が国では若年層向けの創業支援の取組が始まったばかりですが、新宿区内においても高校生などが自由に起業家教育などに接する機会を増やしていくことも重要だと思います。 例えば、現在、主として一般成人や大学生向けに行っている創業セミナー等へ高校生などを受け入れてはどうでしょうか。高田馬場創業支援センターで行っている事業と併せてお考えをお尋ねします。 これからの行政の在り方として社会環境の変化やニーズに対応するため、親の所得や資産に関係なく、新宿区に暮らす子どもたちが将来にわたり生活に困らない職業を得ることができるよう、創業などの分野にも平等にチャレンジできる環境や機会づくりが必要不可欠です。若年層への創業支援を充実していくよう、改めてお願いいたします。 ◎区長(吉住健一) 若年層への創業機運醸成についてのお尋ねです。 初めに、創業セミナーや創業機運醸成への区の取組と、その実績についてです。 区では、新宿区創業支援等事業計画を策定し、民間の創業支援事業者と連携しながら創業セミナーや創業機運醸成事業を行っています。 具体的には、高田馬場創業支援センターで行っている創業セミナーでは、創業や第二創業、事業を進める上で必要な最新情報、業界動向や起業家事情などをテーマに知見の豊かな方を講師に招き、年5回セミナーを実施しており、今年度はこれまで29人の方が受講しています。 さらに、より具体的に創業を目指している方に向けて、経営、財務、人材育成、販路開拓などをテーマにした全4回のセミナーを高田馬場創業支援センター、東京三協信用金庫及び西京信用金庫でそれぞれ年2回行っており、これまでに68人の方が受講しました。 また、創業機運醸成事業では、事業計画の策定方法や具体的なベンチャー企業の成功例を紹介するなど、創業をより身近に感じてもらえる内容を「新宿ビジネスプランコンテスト」のキックオフセミナーで行っています。実施に当たっては、早稲田大学、東京理科大学、工学院大学、桜美林大学の4大学と連携し、合計で412人の方が参加しました。 区では、今後も引き続き関係機関と連携しながら、創業の段階に応じたセミナー等を実施し、区内の創業機運を高めてまいります。 次に、一般成人や大学生向けに行っている創業セミナーや、高田馬場創業支援センターで行っている事業へ高校生を受け入れてはどうかとのお尋ねです。 御指摘のとおり、高校生などが将来の職業選択に向けて起業家教育などに接する機会を増やすことは創業機運の醸成や創業者数を増やすことにもつながり、若年層への働きかけを行うことは重要であると考えています。 現在行っている創業セミナーや高田馬場創業支援センターでの事業には年齢制限を設けてはいないため、高校生などの事業への参加は可能です。 しかしながら、過去には窓口相談があった事例はありますが、実際には高校生の参加はほぼありません。 今後は、高校生など若年層の創業セミナー等への参加を増やしていくために、より関心度の高いテーマ設定や実施時期、周知方法等の工夫を行いながら事業を実施してまいります。 ◆13番(永原たかやす) 6、社会的弱者支援のためのより付加価値の高いブランド構築について。 親は無償の愛で子どもを思う。そして、子どもの幸せを願い、自分より長く生きてもらいたいと思うのが親だと思います。人としてごく当たり前だと思うことですら、家庭の事情や社会的背景から恵まれない人々がいることも事実です。 そのために行政は、社会的弱者に対し、限りある予算の中でできる限りの手厚い支援を行っており、新宿区は高田馬場を初めとして、福祉に優しいまちとして高い評価を頂いています。 しかし、支援を受けることが彼らにとっての幸せなのでしょうか。 政府の方針として、厚生労働省は働き方改革実現に向けた取組を、「働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人ひとりがよりよい将来の展望を持てるようにすることを目指す」とあります。 そして、障害者雇用対策として、障害者が職業を通じ、誇りを持って自立した生活を送ることができるよう障害者雇用対策を進め、障害者に対して職業訓練や職業紹介、職場適応援助等の職業リハビリテーションを実施し、それぞれの障害特性に応じたきめ細やかな支援を行うことが述べられています。 現在新宿区では、新宿福祉作業所や東京ワークショップ、株式会社あしかなどにおいて、やりがいを求め、自分に合う様々な形態の仕事に就かれています。 令和元年12月4日、5日に新宿駅西口広場イベントコーナーにて開催された「手づくりマーケットin新宿区」において、新宿区内の障害者福祉施設で製作した雑貨、アクセサリー、パン、お菓子などの様々な商品を販売され、好評を博していました。 新宿を代表する商業施設である伊勢丹には、プライベートブランドの「オンリー・エムアイ」という商品があります。既存ブランドの商品を消費者の声を取り入れ改良して、三越伊勢丹ブランドとして再ブランド化したものです。 新宿区の福祉施設においても、ブランド化することで、より付加価値が高いものを生産し販売することで、価格競争力をつけていくことで利益拡大を図り、作業者に対し還元できる仕組みを構築していかなければならないと考えます。 新宿区においてもブランド化の取組は既に存在し、区内福祉施設同士が連携し、施設利用者の社会参加へのさらなる促進を目指すため発足した「新宿区事業所等ネットワーク」が受注業務の成果品と自主製品の双方の質を上げ、施設利用者の工賃向上を目指すことを目的として、身近で親しみやすさを感じてもらえるように、愛称を「しんじゅQuality」と決定し、ロゴマーク等も作成しています。 代表的な商品として吉住健一区長が御自身のフェイスブック等でも御紹介されている四谷区民センターの9階の一角に蜜蜂の巣箱を設置し、養蜂事業により採取された新宿区産の蜂蜜の販売は、区民からも事業の意義、品質、高付加価値があると大変人気であり、5月-8月の期間限定生産ということもあり、一時期は品薄状態が続き、販売個数の制限をするほど人気を博していました。 今後、蜂蜜のさらなる増産体制を築き、蜂蜜そのままの販売ではなく、さらに付加価値をつけて販売できるように、消費期限がなく、生産調整がしやすい、廃棄ロスが少ない蜂蜜を使ったシャーベット等の開発にも手がけていただきたいです。 また、蜂蜜同様に、労働集約的な作業で高付加価値な商品が生産できるイチゴ栽培なども12月-5月の期間でビルの屋上を利用して、ハウスで苗から水耕栽培による生産が可能で、ビルの高さによる日照と地下鉄、地下街などから放出される排熱エネルギーをハウスの熱源として利用することも可能です。 イチゴは傷みが早いデリケートな果物であることから、輸送中の事故を嫌い、完熟前にパック詰めされ輸送されることから甘さが控え目になる傾向があることから、一大消費地の中にあり、甘くなるまで十分に完熟した新鮮なものを収穫し、食べる寸前に提供できる地理的メリットと輸送コストの少なさは計り知れない高付加価値を生みます。もちろん、当日に販売できなかったものは、加工し販売することも可能です。 内閣府の資料によると、日本のインバウンド需要は近年急速に拡大し、2013年には1,000万人、2016年には2,000万人を突破、2019年は3,188万人となり、観光消費金額は4.8兆円となっています。 新宿区は日本で一番海外からの宿泊者数が多いという特徴があり、ショッピングに対し日本らしいもの、日本人による生産、日本でしか買えないものを期待していること、相対的円安であるということや、デザイン性や、偽物はないという信頼から、免税措置を含め、日本で貴金属類の購入をしたいという需要があることから、宝石の産地である山梨県では生産販売が盛んで、宿泊地に近い身近な商圏である日本の東京の新宿は地域ブランドとして十分に成立する基盤があると想定されます。 そこで、しんじゅQualityブランドやオーダーメードの指輪やネックレスなど貴金属の加工販売を行うことで、原材料費を考慮しても販売価格の大部分を加工費やデザイン料が占めるため、十分な収益を上げることができます。 ジュエリー教室で貴金属類の技術を学び、趣味を兼ねた週末作業で作製したものをネット販売して月に20万円以上稼ぐ人もいることから、障害者の方々が障害の度合いにより分担作業することを考慮しても、区が販売促進することで事業として成立する可能性があると思われます。 障害者の皆さんが手に職をつけ、相応な報酬を得ることができれば、親御さんも安心して子どもの生活設計を考えることができます。 しんじゅQualityの今後の戦略と障害者の就労支援策についてお伺いします。 ◎区長(吉住健一) 社会的弱者支援のためのより付加価値の高いブランド構築についてのお尋ねです。 初めに、しんじゅQualityの今後の戦略についてです。 区では、新宿区勤労者・仕事支援センターへの運営助成を通じて、障害者への就労支援と障害者就労施設等の仕事の充実及び工賃向上といった自立を目指す取組に対しての支援を行っています。 新宿区勤労者・仕事支援センターが手がける受注センター事業では、官公庁や企業からの仕事を共同受注し、作業内容や量を調整して区内の障害者就労施設等へと配分しているほか、共同製作商品の開発や販路の拡大を目指して、新宿区障害者福祉事業所等ネットワーク「しんじゅQuality」の事務局も担っています。 平成31年3月には、「しんじゅQuality」ブランドとしてロゴマークの商標登録を行ったほか、新たに「しんじゅQualityみつばちプロジェクト」を立ち上げ、同ネットワークの事業所等の利用者にも飼育や瓶詰めなどの作業に従事していただきながら、四谷区民センターで養蜂事業を開始しました。新宿産の天然蜂蜜として大変好評を頂き、初年度生産分の1,000個については完売いたしました。 今後は生産力を高めるため、新たに障害者福祉センターでも養蜂を開始するほか、株式会社丸井や高島屋の協力を得て開催してきた自主製品販売イベント「しんじゅQualityハンドメイドマーケット」について新たな企業の御協力も得ながら事業を拡大してまいります。 また、区内企業とのコラボレーションによる新宿産蜂蜜を使った商品の開発や、「しんじゅQuality」ブランドの付加価値を高めるための事業展開も進めてまいります。 今後も、より多くの方々から御理解を頂き応援していただけるよう、地域や企業との協力体制を進め、関係機関とも連携しながら支援を行ってまいります。 次に、障害者の就労支援策についてのお尋ねです。 新宿区勤労者・仕事支援センターの障害者就労支援事業では、一般就労を希望する障害のある方と受入企業に対し、職業相談や就労準備支援から就職後の定着支援まで一体的な支援を実施しています。 企業等への対応としては、新宿区勤労者・仕事支援センター登録者の就労先を中心に、事業所に対してそれぞれの必要性に応じた制度説明を行うとともに、業務の切り出し方や職場で生じる課題への解決方法といった助言を行い、雇用上の注意点や個々の就労者の障害特性と、それに対する合理的配慮についての理解を促しています。 また、企業等からの求人の相談に対しては、登録者の中に適した方がいる場合は、そのコーディネートを行うほか、必要に応じてハローワークや障害者職業センターなどとも連携し、最適な窓口へつなぐよう努めています。 障害者御本人への就労支援及び定着支援については、専門の就労支援コーディネーターが就職に向けた様々な御相談や職場訪問に応じるほか、企業就労者同士の交流を図る「たまり場事業」として仲間づくりや就労に役立つ知識の共有のための講座などを実施しております。 今後も、一人でも多くの障害者の方が長く希望する仕事に就けるよう、関係機関と連携しながら支援を行ってまいります。 ◆13番(永原たかやす) 7、「まちの美化」と「受動喫煙防止」について。 先日の1月23日に新宿文化センターで令和元年度「まちの美化推進・ごみ減量及びリサイクル功労者表彰式」が行われましたが、「たばこのポイ捨てを初めとしたポイ捨てが相変わらずである」との声が区民の方々から上がっていました。 新宿駅西口の地上の現在の状況はさんざんたるもので、指定された喫煙所以外での喫煙やポイ捨てなど、多くのマナー違反が見られます。 私としては、日常生活の中ではよくなってきているという認識を持っていますが、にぎやかな人通りの激しい通りなどでは、近年のインバウンドを初めとしたにぎわいによる影響もあり、たばこを初めとしたポイ捨てが目立つようにも感じており、道路沿いの植え込みの中も同様の状況にあります。 このような点では、特に盛り場とも言えるような場所などの側溝の雨水ますのグレーチング(網状の蓋)などの周りやグレーチングの下には、たばこの吸い殻がたまっていることなども目にすることがあります。 このようなたばこを初めとしたポイ捨てが、今また目立つようになってきたと感じています。本年夏に開催の東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、今後一段の悪化が心配されるところであります。 そのような状況下にあって、地域と一緒になって対策を講じていく必要があるものと思いますが、区としてはこのような状況をどのように把握されていて、今後に向けてどのように対応されようとされているのか伺います。 現在の新宿区内の中には、ただいま申し上げたような状況にある上に、本年4月からは改正健康増進法が全面施行となり、さらには時期を同じくして、健康増進法よりも厳しい東京都の受動喫煙防止条例の適用も始まろうとしている中で心配となる地域もあるかと思います。 このことでは、IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は、2010年に「たばこのない五輪」の推進で合意。日本でも2018年に受動喫煙対策を強化するため健康増進法を改正し、また開催都市である東京都では、受動喫煙防止条例を制定して準備を進めています。 そのような中にあって、現在でも以前と比べると、たばこを初めとしたポイ捨てとして目立つものが、4月からの受動喫煙対策の強化により、飲食店を含む人が多く集まる施設は原則として屋内禁煙となることから、道路上や歩道等での喫煙やたばこを初めとしたポイ捨てなどが心配されており、その状況が一層ひどくなるのではないか、そして人の往来がさらに激しくなる7月からの大会期間中は、状況はますますひどくなるのではないかと心配しています。 このような区民の声などは区には届いているのでしょうか伺います。 さらに、新宿区はメイン競技会場を有する自治体として、区民やオリンピック・パラリンピック観戦の人々に対する路上喫煙禁止や歩きたばこ禁止をどのように徹底していこうと考えているか伺います。 あわせて、受動喫煙防止に係る指導等を含むルールの徹底や定着に向けた区の取組についてですが、敷地内であれば健康部所管であり、敷地外となると路上喫煙禁止やポイ捨て禁止の対象となり、環境清掃部所管になると思いますが、どのように連携されるか伺います。 次に、区内で飲食店を経営している区民の方々からの声です。 喫煙ができる例外は、1、喫煙専用室を設けた場合、2、加熱式たばこに限り、吸いながら飲食等ができる指定たばこ専用喫煙室を設けた場合、いずれの場合も対象経費の5分の4または10分の9、400万円の限度額という東京都の補助制度が整備されてはいるものの、一定の経費がかかります。 何よりも、ただでさえ経営規模の小さい店舗では客席等を削らなくてはならないなど制約が多過ぎるという話もありますが、区にはどのような声が届いているのでしょうか。 また、いわゆるシガーバーと言われているような店舗における法令の適用についての問合せについてはどのような対応を取られているか伺います。 ◎区長(吉住健一) 「まちの美化」と「受動喫煙防止」についてのお尋ねです。 初めに、たばこを初めとしたポイ捨てについて、区として今日的な状況をどのように把握し、今後に向けてどのように対応していくのかについてです。 繁華街においては来街者が増加し、区のポイ捨て禁止や路上喫煙禁止のルールを知らない方も増えており、依然としてポイ捨てが目立っていると認識しています。 このため、区では清掃キャンペーンを初め、歌舞伎町クリーン作戦など地元と協働で取り組み、来街者への周知啓発に努めています。 さらに、現在活用している日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語表記の路上喫煙禁止のポスター等に加え、区民の方が使いやすい、より小さな4か国語表記のポイ捨て禁止ステッカーを新たに作成し、周知に努めていきます。 今後も、こうした周知啓発活動を通じて、来街者などへポイ捨て禁止や路上喫煙禁止の徹底を図ってまいります。 次に、受動喫煙対策の強化による道路上での喫煙やポイ捨て等を心配する区民の声などを把握しているか、来街者などに対する路上喫煙禁止等の徹底をいかに確保していくのかについてです。 4月から受動喫煙対策が強化されることで路上喫煙者が増え、ポイ捨て等の増加を心配する御意見が電話や窓口などで区に寄せられているところです。 区では、キャンペーンの実施やポスターなどの掲出に加え、路上喫煙禁止パトロール体制の拡充を図り、路上喫煙禁止の指導啓発に努めていきます。 また、本年3月に完成予定の新宿駅西口駅前公衆喫煙所を初め、駅周辺での公衆喫煙所を整備するとともに、区の基準を満たす公衆喫煙所等を整備する事業者に対して整備費用を助成するなど、路上喫煙や、それに伴うポイ捨て等への対策を推進しています。 こうした取組を通じて、東京2020オリンピック・パラリンピック開催中も、区内の路上喫煙禁止やポイ捨て禁止の徹底を図ってまいります。 次に、受動喫煙防止の庁内連携体制についてのお尋ねです。 受動喫煙防止に係る指導等を含むルールの徹底や定着に向けた取組を進めていくためには、敷地の内外にかかわらず関係部署が相互に連携を深め、総合的な体制を取っていく必要があります。 現在、区民等から受動喫煙防止に関する意見などが寄せられた場合、健康部と環境清掃部で連携し、違反者などに対して路上喫煙やポイ捨てをやめるよう指導するとともに、改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例についての御理解を求めています。 今年4月からの改正健康増進法などの全面施行に伴い、今まで以上に庁内関係部署の連携を強化し、ルールの周知や普及啓発を図っていきます。 次に、区内飲食店経営者等からの声についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、これまで区内で飲食店を経営している方からは、制度や手続全般の問合せとともに、制度そのものに対する厳しい御意見を頂いていますが、区としては改正健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例の趣旨に基づき、制度全体の理解が浸透していくよう周知に努めています。 さらに、都の補助制度のほか、区独自に公衆喫煙所や雑居ビル内の喫煙専用室等の整備費用を助成することにより飲食店経営者等の負担軽減を図っています。 また、いわゆるシガーバーについて問合せがあった場合には、主食を提供していないなどの適用要件を説明するとともに、技術的な問合せであれば、都の専門相談窓口を案内するなどの対応をしています。 今後も、制度全体の普及啓発を行うとともに、飲食店を含む事業者からの相談に丁寧に対応し、たばこを吸う人も吸わない人も心地よく過ごせる環境づくりを推進していきます。 ◆13番(永原たかやす) 丁寧な御答弁を頂きまして、ありがとうございました。 ただいまをもちまして、自由民主党新宿区議会議員団代表質問を終了させていただきます。 御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 次に、3番三沢ひで子議員。     〔3番 三沢ひで子議員登壇、拍手〕     〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕 ◆3番(三沢ひで子) 新宿区議会公明党の三沢ひで子でございます。令和2年第1回定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問させていただきます。御答弁をよろしくお願いいたします。 まず冒頭に、このたびの新型コロナウイルスに感染して亡くなられた方に御冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、御遺族に心よりお見舞い申し上げます。 また、感染された方々には、一日も早い回復をお祈り申し上げ、以下質問に入らせていただきます。 質問の第1は、令和2年度予算編成と区財政について質問いたします。 世界で台頭する保護貿易主義の影響や頻発する自然災害、東京2020オリンピック・パラリンピック後の需要減が予測されるなど、新宿区を取り巻く社会経済情勢は予断を許さない変化の連続であります。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて外国人観光客の宿泊キャンセルなど、観光業を含めた地域経済などへの影響も懸念されています。 新宿区がこうした国内外の社会変化を見据え、喫緊の課題に迅速に対応できるように適切な予算編成を行い、必要な財源を確保する取組を今後も続けていかれることを期待しています。 限りある財源の中、将来にわたり区民に良質なサービスを提供できるように、以下質問させていただきます。 1点目は、来年度予算編成に当たっての留意点について伺います。 先ほど述べましたように、来年度は海外経済の動向や昨年10月の消費税率の引上げの影響による個人消費の影響など、国内外の情勢変化が予想されています。また、第一次実行計画の総仕上げの年度となるとともに、第二次実行計画への検討・準備期間でもあります。そこで、来年度予算案はどのような点に留意して予算編成をされたのか伺います。 2点目は、歳入に見合った予算編成についてです。 平成27年度から4年間は、財政調整基金を取り崩さずに財政運営をされてきました。しかし、令和元年度は35億円、令和2年度は39億円の取崩しを見込んで予算案を作成されています。 本来、財政調整基金の使途は健全な財政運営に資するものです。先行きが不透明な情勢なだけに、今後は特別区税等の収入減も想定されます。そのため、歳入に見合った歳出を行うことが大切です。来年度予算編成においては基金を取り崩さなくて済む予算編成を目標とすべきと考えます。区のお考えを伺います。 3点目は、財政の硬直化改善についてです。 平成30年度の経常収支比率は80.8%と、財政の硬直化が続いています。その原因の一つが、保育所への保育委託や障害者自立支援給付費等の扶助費の増が挙げられます。このような経費は削減ができないものです。また、今後は待機児童解消のための施策の推進とともに、学童クラブの需要増から委託費の増加も想定されます。 そこで、今回の予算編成に当たってどのように硬直化抑制に配慮されたのか。また、今後財政の硬直化に対してどのように取り組もうと考えておられるのか御所見を伺います。 4点目は、消費税増収分の使途の見える化についてです。 昨年から実施された消費税率引上げは、増収分を高齢者に加え、子どもや現役世代への支援も充実させる全世代型社会保障へ転換されています。消費税が日本より高負担のスウェーデンで住民の行政への満足度が日本より高いのは、負担の見返りとして行政サービスへの理解と納得があるからだとお聞きしています。 そこで、本区においても増収分が来年度予算案にどう財源配分をされているのか区民に分かりやすく御説明をお願いいたします。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 三沢議員の御質問にお答えします。 令和2年度予算編成と区財政についてのお尋ねです。 初めに、来年度予算編成における留意点についてです。 我が国の経済情勢を見ると、国は1月の月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」としているものの、「一部で弱さが見られる」と判断しており、引き続き海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向等に留意するよう指摘しています。 2月17日の2019年10月~12月期のGDP速報値では、消費税率引上げ前の駆け込み需要の反動減や、大型台風と暖冬による個人消費の落ち込みが示されています。また、新型コロナウイルス感染症の経済への影響なども懸念されます。 さらに、国による不合理な税制改正や、ふるさと納税による特別区民税の減収などの影響も懸念され、区財政を取り巻く社会経済情勢は依然として先行き不透明で予断を許さない状況にあります。 このような状況の中で、令和2年度は東京2020オリンピック・パラリンピック後を見据え、持続的に発展する新宿のまちの実現に向けて、高齢者や子育て世代への支援など、誰もが安心して住み続けられる環境の整備、災害に強い安全で安心なまちの実現、魅力あふれるにぎわい都市の創造と地域の特性を活かしたまちづくりを初め、区政が直面する課題への財源の確保、加えて、施設の改築需要などの将来に対する備えも併せて講じていかなければなりません。 こうしたことから、令和2年度予算編成は、限られた財源の重点的、効果的な配分、全ての事務事業の見直しや徹底した歳出削減とともに、一層の歳入確保を基本に作業を進めたところです。 次に、歳入に見合った予算編成についてです。 令和2年度の一般会計予算規模は1,540億円で、前年度と比較して32億円、2.1%の増となり、過去最大規模を更新しましたが、財源不足額も3億円、9.4%の増となり、39億円に拡大しました。これは、歳出予算において投資的経費が減となったものの、保育所への保育委託や障害者への自立支援給付等の扶助費の増や人件費の増により、義務的経費が増となったことに加え、その他の経費において学童クラブ経費などの物件費が増となったことなどによるものです。 一方、歳入総額は1,501億円で、地方消費税交付金や特別区税などの一般財源及び国庫支出金や都支出金などの特定財源の増があったものの、特別区交付金の減などにより39億円の財源不足額が生じました。 財政調整基金を取り崩すことなく歳入に見合った予算編成を目指すことは必要と考えています。このため、業務の効率化や生産性の向上、公民連携のさらなる推進、公共施設のマネジメントの強化など、不断の行財政改革に徹底して取り組み、歳出予算の縮減を図り、区財政の健全性を確保しつつ、持続可能な行財政運営に努めてまいります。 次に、今後の財政硬直化改善についてです。 現在、財政構造の弾力性を測定しようとする指標である直近の経常収支比率は、御指摘のとおり平成30年度決算における80.8%であり、この数値は一般的な適正水準と言われている70~80%を超え、区の財政構造が硬直化していることを示しています。 この経常収支比率を改善するためには、義務的経費の低減、内部管理経費のより一層の精査や区税等の増収対策による一般財源の収入確保など、歳入歳出両面からの積極的な取組が重要と考えています。 令和2年度予算編成においては、事務事業の見直しとして、歳出予算額の削減では、決算不用額の精査、実行計画による事務事業見直し、外郭団体の運用実績の検証による不用額精査や事業統合・再構築等を行いました。また、区有財産の有効活用などによる歳入予算額の確保も行ったところです。 今後も引き続き将来にわたり持続可能な弾力性のある行財政運営を確保していくために、職員一人ひとりがこれまで以上にコスト意識を高め、徹底した事業見直しと経費の削減、より一層の財源確保など歳入歳出両面の取組を進めてまいります。 次に、消費税増収分の使途の見える化についてのお尋ねです。 消費税引上げ分は、消費税法により社会保障に要する経費に充てるとされています。区では、一般財源である地方消費税交付金の一部を主に国民健康保険料など保険料の軽減措置、介護保険サービスの基盤整備、子ども・子育て支援給付及び障害者への自立支援給付などの社会保障の充実に活用しています。 また、令和2年度引上げ相当額は45億円程度で、昨年度の27億円に比べて18億円多く見込まれるため、幼児教育・保育無償化への対応や、令和2年度から実施する公私立幼稚園の幼児教育の推進のほか、新規・拡充事業の財源として充当しています。 今後は、予算概要などにより分かりやすくお示しし、区民の皆様に御理解いただけるよう工夫してまいります。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第2は、新宿区におけるSDGsの推進について質問いたします。 2015年9月国連サミットで全世界共通の目標として、貧困の撲滅、格差の是正、教育、環境、平和など、「経済」「社会」「環境」の3つの側面から17の目標と169個の個別ターゲットを示した持続可能な開発目標(以下「SDGs」)が採択されました。 これは、「誰一人取り残さない」との基本理念に基づき、2030年を目指して日本を含む全ての国連加盟国・地域が「持続可能な地球社会」を実現するために必要な解決すべき課題を明らかにしたものです。 この課題解決に向けた取組を加速するため、政府は昨年12月20日、SDGs実現のための行動指針を定めた実施指針を3年ぶりに改定。目標達成まで本年で残すところ、あと10年となるため、実施指針のタイトルを「SDGsアクションプラン2020~2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり~」としています。 とりわけ今回の改定で着目すべきは、目標達成に向けた利害関係者(ステークホルダー)に「議会」が加わり、その役割として「国民一人ひとりの声を拾い上げ、国や地方自治体の政策に反映させることが期待される」と明記されている点です。 私たちの身近な地域社会のレベルでも、近年の異常気象による自然災害や加速する少子高齢化、また教育の在り方や働き方等、日常と密接に関わってくる数多くの課題がSDGsと関連しています。 そのため、新宿区が直面している課題解決に向けてもSDGsの取組は非常に重要であると考え、以下3点にわたり質問いたします。 1点目の質問は、SDGsへの認識についてです。 内閣府が昨年10月1日~11月29日に行ったSDGsに関する自治体への調査によると、「目標達成に向けた具体的な取組を行っている」と回答があった自治体は全体の約13%にとどまった一方、「SDGsに関心がある」との回答は全体の約58%に上り、内閣府は「具体的にどういったことをしたらいいのか分からない自治体が多い」と分析しています。 また、街場でも、私たち議員が17の目標を17色に彩った円形のバッジをしていると、「それ、何?」とお尋ねくださるので、SDGsの説明をしたことで興味・関心を寄せてくださる方が多くいらっしゃいます。 以上のことから、周知も含め、取組はまだまだ手探り状態であると思われますが、御理解いただければSDGsの重要性については、多くの区民の皆様にもその重要性を認識いただけるものと確信いたします。 そこで、まずは区長並びに教育委員会のSDGsに対する認識についてお聞かせください。 2点目の質問は、SDGsと事業との関連についてです。 改定されたSDGsの実施方針でも「行政や市民社会、国際機関と連携し、国や地域が直面する社会課題を解決する」とあり、自治体の事業とSDGsが関連していくことが求められています。 また、SDGsの17の目標は非常に幅広く、ある意味では、ほとんどの事業がSDGsと関連しているのかもしれません。 ただし、多くの事業にSDGsを関連させることが悩ましいのは、既に新宿区では有用性があり実効性のあるPDCAサイクルを実現するため事業評価を極力簡略化することに努めてきており、一定の効果が見られている現状があるということです。 すなわち、新たな評価指標が加わってしまうと、幾ら理念や意義はすばらしいものであっても、指標が増え、業務も煩雑になることから、評価のための評価に陥ってしまうのではないかという懸念が生じてしまいます。 そこで提案ですが、既存事業ではなく、現在検討中で今後形となっていく事業を今のうちからSDGsと関連させて推進していくことはできないでしょうか。 例えば、来年度、区では公民連携のさらなる推進に向け相談窓口を設置し、民間提案制度の導入に向けた検討を行うとしていますが、この検討にSDGsとの関連を加えてはいかがでしょう。 SDGsでは、17番目の目標として「パートナーシップで目標を達成しよう」とあり、個別ターゲットには「さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する」とあります。 また、政府が定めた実施指針の中核をなす3本柱の一つが、「SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり」として公民連携の推進を掲げています。 さらには、昨年末に都が策定した中長期戦略でも、「SDGsの目線で政策を展開する」とし、「区市町村と共に持続可能な東京を実現する」、「都民・企業など、多様な主体と共に持続可能な東京を実現する」等、公民連携によるSDGsの推進をうたっています。 このように公民連携等、これから形となっていく事業にSDGsを関連させていくことについて区の御所見を伺います。 3点目の質問は、区民へのSDGsの啓発活動についてです。 先ほども申しましたように、SDGsのバッジを見た街場での反応からすると、まだまだ区民の皆様にSDGsは知られていないのが現状だと思います。 しかし、ある程度のお話をすれば、多くの方が興味・関心を持ってくださるのも実感しています。ただし、SDGsの前身であった「ミレニアム開発目標(MDGs)」から話を説き起こしたり、17の目標を全て話したりすると、「何だか難しくて分からない……」という反応をされてしまうことも経験しています。 むしろ、具体的に「「地球温暖化を防ぐためにペットボトルを使わないようにしている」とか「コンビニでレジ袋をもらわずマイバッグを使っている」というようなことがSDGsの活動になるのですよ」と、身近な生活に即してお話ししたほうが強く興味・関心を持っていただけると感じています。 そこで提案ですが、区民へのSDGsの啓発は、日常の生活で実践できるようなテーマに絞って、まずは行ってみてはいかがでしょうか。 例えば、環境清掃部が行っている庁内での取組や区民向けのイベントに、SDGsを関連させていくことはもちろん、広く区民に周知されるような新たな取組も企画してみてはいかがでしょうか。区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 新宿区におけるSDGsの推進についてのお尋ねです。 初めに、SDGsに対する認識についてです。 SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された、持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。 目標は、「保健」「教育」「都市」「エネルギー」「気候変動」「平和」など17分野にわたり、「誰一人取り残さない」社会を実現することをうたっています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり、日本でもSDGsの実施指針を定め、積極的に取り組むとしています。 区では、これまで持続的に発展する新しい新宿のまちの創造に向けて、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸や、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実、災害に強いまちづくりや、地域特性を活かした都市空間づくり、地球温暖化対策の推進と資源循環型社会の構築、平和都市の推進など様々な施策に取り組んでおり、これらはSDGsに合致するものと考えています。 今後もこうした取組を推進していくとともに、SDGsの重要性について区民に広く周知してまいります。 次に、公民連携の推進などにSDGsを関連させていくことについてです。 区では、来年度、公民連携に関する専任の窓口を設置するとともに、民間提案制度の導入に向けた検討を行うこととしています。 民間提案制度の導入に当たっては、対象分野やテーマの設定、事業化する場合の具体的な手法や進め方、提案募集の手続、情報提供の方法などの課題があります。このため、先進自治体における取組を分析するほか、民間企業等のニーズや要望を把握しながら検討していきます。 こうした中でSDGsの視点を取り入れた制度設計を行っていきます。 次に、区民へのSDGsの啓発は、日常の生活で実践できるようなテーマに絞って行ってはいかがとのお尋ねです。 御指摘のとおり、SDGsについては身近な環境問題と連携して啓発を行っていくことが効果的であると認識しています。 そのため、本年1月末に富久小学校で開催した環境学習関連団体が集まる「まちの先生見本市!」では、参加者を対象としてSDGsの17の目標を活用したスタンプラリーを実施しました。 使い捨てプラスチックを活用した工作や、マイバッグ作りなど、様々な体験をしながらスタンプラリーを行うことで、参加者のSDGsへの理解が進んだものと考えています。 また、区では、昨年の8月に「庁内における使い捨てプラスチック製品の使用削減取組方針」を策定し、率先して削減に取り組んでいます。方針に基づき、区の多くの会議体では、ペットボトルによる飲料提供を行わず、紙パックやリユースカップに切り替えています。 今後は、こうした区の新たな取組についても、区民や事業者に周知していきたいと考えています。あわせて、「新宿の森」での森林体験のプログラムにSDGsを理解し実践してもらう工夫をするなど、環境イベント等を通じて、SDGsへの周知啓発を一層進めてまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、教育委員会のSDGsに対する認識についてのお尋ねです。 未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばすためには、一人ひとりが持続可能な社会の担い手として課題を解決していくことができる資質・能力を身につけていくことが大切であり、SDGsの理念は全ての教育活動に密接に関連しているものと認識しています。 教育委員会では、教育ビジョンの3つの柱の一つである「子ども一人ひとりの『生きる力』をはぐくむ質の高い学校教育の実現」に基づき、環境教育や平和教育、人権教育など様々な教育活動を児童・生徒の主体性を大切にしながら実施しています。 また、ユネスコスクールに加盟している西戸山小学校では、子どもたちがSDGsの目標である17分野にわたる目標の中から、どんなことが自分たちにできるかを毎年考え実践することで、身近な問題について学校全体で取組を推進しています。 今後もこうした取組を推進していくとともに、各学校での取組を通してSDGsの重要性についての児童・生徒の理解を深めていくよう取り組んでまいります。 ○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。 △休憩 午後2時58分--------------------------------------- △再開 午後3時15分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第3は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と肺炎球菌ワクチンの定期接種について質問いたします。 中国武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染症は、多くの死者・感染者を出し、今なお世界各地に感染が拡大しています。 政府は、新型コロナウイルスによる肺炎について、感染症法に基づく指定感染症と、検疫法の検疫感染症に指定する政令を閣議決定し、2月1日から患者の強制入院や就業制限、入国者への検査指示などを実施しています。 新宿区議会公明党は、新宿区が国や東京都と連携して特段の取組を推進されますよう、1月31日に吉住区長に対して緊急の要望をさせていただきました。 そこで、1点目は、緊急要望させていただいた内容について状況を質問させていただきます。 まず、感染防止策の強化と多言語対応を含めた感染予防方法や相談窓口の区民への周知の徹底についての取組状況はいかがでしょうか。 次に、新宿区を訪れる外国人観光客への医療体制の整備についてはいかがでしょうか。 次に、子どもたちの間で風評被害を起こさせないようにするために、学校現場において児童・生徒への正確な情報提供を行う取組はいかがでしょうか。 2点目は、肺炎球菌ワクチンの定期接種についてお伺いします。 肺炎は高齢になるほど重症化しやすく、人口の高齢化に伴い年々死亡者数も増加することから、公明党は予防医療の重要性を訴え続け、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種制度を推進させていただきました。 その結果、高齢者の死亡率が高い肺炎予防のための定期接種制度が2014年10月から開始されました。 しかし、厚生労働省は、接種率が伸び悩んでいるため、2019年度から2023年度まで経過措置を延長することを決め、接種率向上の取組を求める事務連絡を2019年1月11日に自治体に通知しました。 そこで、2019年度から経過措置が延長になりましたが、厚生労働省の接種率向上の意向を受けた新宿区の取組状況についてお伺いいたします。 3点目は、定期接種対象者と未接種者についての対応についてお聞きします。 肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象者は、対象年度に1人1回定期接種を受ける機会があります。しかし、定期接種の対象者が対象年度までに未接種の場合、年度末頃までに再度接種勧奨の通知をすることが接種率向上の取組として必要不可欠なことと考えます。 また、国立感染症研究所が公表している感染症情報には「リスクアセスメント表」が掲載され、「避難所での過密状態が継続すれば肺炎リスクが高まる」ことが指摘されています。さらに、「避難生活が長期化する場合には、肺炎球菌ワクチン定期接種の未接種者は接種を検討する」や「東日本大震災において発災直後から3週間程度の間に肺炎球菌性肺炎が多発している。定期接種対象者で未接種者は早めに接種することが勧められる」などの記載があります。 災害時の感染予防の観点からも未接種者対策は重要であると考えますが、区の御見解をお伺いいたします。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 新型コロナウイルスの感染拡大防止と肺炎球菌ワクチンの定期接種についてのお尋ねです。 初めに、新型コロナウイルスの感染防止策の強化と多言語対応を含めた感染予防方法、相談窓口の区民への周知の徹底についてです。 新型コロナウイルスの予防として、手洗いの徹底、咳エチケットを行うなど、季節性インフルエンザと同様の感染症対策を行うことが重要であることを区ホームページやポスター等で周知しています。 また、区民や旅行者の不安を解消するため、1月30日より新型コロナウイルス相談電話、2月7日には感染が疑われる方からの相談窓口として「帰国者・接触者電話相談センター」を設置し、必要に応じて診療体制の整った医療機関の帰国者・接触者外来へつなげています。 区では、このような予防策や相談窓口の周知に当たり、日本語、中国語、英語、韓国語での掲載による多言語対応を行っています。 次に、外国人観光客への医療体制の整備についてです。 区が設置した帰国者・接触者電話相談センターに外国人観光客から新型コロナウイルス感染症が疑われる相談があった際には、都が実施している外国人患者向け医療情報サービスなどを活用し、確実に帰国者・接触者外来につなぐことで適切な医療を受けることができるよう体制が整備されています。 次に、高齢者肺炎球菌ワクチンの国のさらなる接種率向上の意向を受けた区における取組についてです。 区では、経過措置が延長になったことを受け、今年度の接種対象者には予診票をお送りしました。また、区ホームページ、医療機関でのポスター掲示を行い、周知に努めています。さらに、今年度のインフルエンザ予防接種の御案内に合わせて、65歳以上の方に肺炎球菌予防接種についてもお知らせしています。 次に、災害時の感染予防の観点からの未接種者対策の重要性についてです。 高齢者肺炎球菌予防接種は、主に個人の発病・重症化予防を目的とするものですが、災害時などの集団予防につながる効果も期待されます。基本的に、本人の意思で接種を希望される場合に行うものであることから未接種者への個別通知は考えていませんが、制度の周知は重要であると考えますので、さらなる効果的な周知方法を検討してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 子どもたちの間で風評被害を起こさせないようにするための学校現場における児童・生徒への正確な情報提供についてのお尋ねです。 教育委員会では、新型コロナウイルスが指定感染症への指定を受けることとなった1月28日以降、国や都からの情報や区の取組について速やかに全区立学校・幼稚園に情報提供を行っています。 また、1月29日には外国籍や渡航歴のある児童・生徒が心ない言葉を投げかけられたり過剰に反応されたりすることがないよう、学校全体での見守りの強化について全区立学校長宛て通知を行い、風評被害の防止に取り組んでいます。 さらに、新型コロナウイルス感染症対策は日々情報が更新され、学校や幼稚園での個別対応では混乱を生じるおそれがあるため、中国から新宿区に転入した児童・生徒の受付については、就学事務を担当する学校運営課の窓口に一元化するとともに、帰国者についても学校運営課と各学校・園が連携して最新情報に基づいた確認を丁寧に行っており、こうした区の取組について2月5日に全区立学校・幼稚園を通じて保護者にお知らせをしました。 なお、現在も日々更新される情報については、学校・園に速やかに通知するとともに、ホームページで発信することで周知を行っています。 今後も児童・生徒へ正確な情報を伝えるとともに、人権尊重の理念に基づいた指導を進めてまいります。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第4は、大人の発達障害者への支援体制の拡充について質問いたします。 平成28年に成立した改正発達障害者支援法の施行により、乳幼児から高齢者までのライフステージに応じた適切な支援が受けられるようになりました。 厚生労働省は、平成28年に在宅の障害児・障害者等の生活実態とニーズを把握することを目的とする「生活のしづらさなどに関する調査」を行っています。 調査結果では、医師から発達障害と診断された人数を48万1,000人と推計しています。また、生活のしづらさが生じ始めた年齢を見ると、65歳未満では「18歳未満」と答えた割合が34.5%、また65歳以上では「65歳以降」と答えた者の割合が43.8%となっています。 私も発達障害者の方々から区民相談をお受けする中で、多くの人が生きづらさや孤立感を感じて生活をされていることを実感します。新宿区としても、発達障害者本人とその御家族をしっかり支援できる体制の拡充を図っていく必要性から、以下質問いたします。 1点目は、大人の発達障害の相談窓口の設置と周知についてです。 発達障害者やその御家族が気軽に相談しやすい相談窓口の設置と、その周知が必要です。相談窓口は支援への第一歩となりますが、区民相談の中でも、「新宿区では大人の発達障害をどこに相談していいのか分からない」という声を相談者から聞きます。 新宿区のホームページでは、大人の発達障害の相談先は世田谷区の東京都発達障害支援センターを案内されています。しかし、区民に身近な地域の相談先は区内4つの保健センターですが、新宿区ではそうした相談先を広報されていません。発達障害者やその御家族は、悩みや不安をどこにも相談できず、抱え込んで孤立してしまう場合もあります。 ある自治体では、「発達障害が気になる。大人になってから、何だか困ることが増えた。人間関係になじめない」といったことについて医師や臨床心理士が個別に相談を受ける窓口を定期的に開設しているところもあります。 今後、区が行われている相談先を周知するとともに、発達障害は障害の自己認知が低い場合もありますので、敷居を低くして区民が気軽に相談しやすい発達障害の相談窓口を設置すべきと考えますが、御所見を伺います。 2点目は、相談支援体制の充実についてです。 相談者のニーズや困り事に対して適切な支援を受けることができるように相談支援体制を充実する必要があります。 私は発達障害についての区民相談で、「相談内容を区の担当者に的確に伝えられずに、回答が生活困窮や就労などのアドバイスに終始し、障害に対する課題の整理が進まず不安を抱えながらも帰宅した」との相談を数件受けました。 こうした発達障害の相談が適切な対応や支援に結びつかない状況が続くと、社会生活を送る上で生活のしづらさや困った状況を余儀なくされ、精神疾患やひきこもりなどの二次障害が生じることもあります。 区は、これまでも区民に寄り添った対応をしてくださっていることを評価していますが、大人の発達障害者への支援の必要性から、今後各関係所管等との連携をさらに強化して支援を充実していく必要があると考えます。御所見を伺います。 3点目は、切れ目のない支援についてです。 ライフステージに応じた適切な支援を受けられる体制を整備する必要があります。 新宿区では、子どもの発達障害の相談は子ども総合センターで受けるようになっています。平成30年度の相談件数は延べ1,206件の相談があったと伺っています。しかし、ここで相談できる年齢は18歳までです。全てのライフステージを通して支援が途切れることがないように関係機関との連携を図り、個々人の発達障害の特性に応じた適切な支援につなげる必要があると考えます。御所見を伺います。 4点目は、発達障害への理解・普及啓発についてです。 発達障害者が社会の中で安心して暮らしていくためには、地域住民を初め職場等で発達障害への正しい理解を促進していく普及啓発が必要です。そのことが発達障害者本人が周囲の無理解からのいじめや差別を防ぎ、生きづらさや困難を解消して生活できるようになると考えます。 先日御相談を受けた中で、職場での発達障害への無理解から配慮のない言動を受け、離職し、その結果、アルコールなどに溺れ、二次的な障害を誘発してしまったケースがありました。今後、発達障害者を取り巻く周囲の人たちの理解や配慮が得られるように講演会やリーフレット等を通して啓発事業を実施していくべきと考えます。区の御所見を伺います。 5点目は、発達障害者の支援を行うための方針や計画の策定についてです。 発達障害者が乳幼児から高齢者まで切れ目なく支援を受けられることを明記した発達障害者支援法の目的にのっとり、新宿区においても発達障害者に関する支援の方針や計画を策定して、発達障害者への支援を強化すべきと考えます。区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 大人の発達障害者への支援体制の拡充についてのお尋ねです。 初めに、大人の発達障害の相談窓口の設置と周知についてです。 発達障害の方は、仕事が長続きしない、人間関係をうまく築けない等の理由により生活のしづらさを感じ、その結果、抑鬱状態やギャンブル、アルコールに依存する状況になることがあります。その状況は個人差が大きく、特性に合った対応が必要となります。 区では、地域の身近な相談先である保健センターにおいて、随時、発達障害の方の相談に応じ、必要な支援を行っています。 相談先の周知については、リーフレットやホームページを工夫するなど改善し、気軽に相談しやすい相談窓口となるよう努めてまいります。 次に、相談支援体制の充実についてです。 区では、発達障害者を地域で支えるため、子ども家庭・若者サポートネットワークを初め、障害者自立支援協議会、精神保健福祉連絡協議会等を通じて、関係機関による情報の共有と連携強化を図っています。 また、精神保健事業や生活困窮者自立相談支援事業、各種障害福祉サービスによる生活支援、就労支援などを通じ、相談に応じています。 区単独の支援が困難な事例については、東京都発達障害者支援センターや東京都中部精神保健福祉センター等の専門支援機関のバックアップも受けながら、庁内関係部署や関係機関などと緊密な連携を図り、相談支援体制の充実強化を図っていきます。 次に、切れ目のない支援についてです。 御指摘のとおり、ライフステージに応じた適切な支援を受けられる体制の整備は重要です。 発達障害に対する支援は早期発見・早期支援が重要になることから、区では1歳6か月児健診や3歳児健診時に保護者の気づきにつながるよう区が作成したリーフレットを配布しています。 また、子ども発達相談や療育相談を通じて、子どもの特性に応じた支援を行っています。 さらに、18歳以上の方については、自立した生活ができるよう、精神保健相談の利用や安定した就労を目的とした就労移行支援事業の利用などにより、個々の状況に応じたきめ細かな支援を行っています。 今後も発達障害者が円滑に社会生活を営むために必要な配慮が得られる環境づくりを目指し、関係機関によるネットワークの強化で支援体制の充実を図ってまいります。 次に、発達障害への理解・普及啓発についてです。 発達障害者が社会の中で安心して暮らしていくためには、発達障害への理解を深めることも大切です。 そこで、毎年発達障害に関する講演会を行っています。本年は、2月10日に「発達障害の基礎知識と接し方」と題した講演会を行い、当事者や家族、知人、支援関係者に多数参加していただきました。 今後も引き続き、周囲の人の理解や配慮が得られるよう普及啓発に努めてまいります。 次に、発達障害者の支援を行うための方針や計画の策定についてです。 発達障害者への支援については、発達障害者支援法の趣旨を踏まえ、関係機関の連携の下、生活全般にわたる切れ目のない支援が必要と考えます。 今後、新宿区障害者計画の見直しを図る際には、新宿区障害者施策推進協議会の委員の方の御意見も伺いながら、計画に盛り込んで、ライフステージを通じた発達障害者への支援を強化してまいります。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第5は、妊娠期からの子育て支援について質問いたします。 全ての妊婦が妊娠期から支援を受けられる環境は、妊娠・出産・子育てに関する不安を和らげ、産後鬱予防や虐待防止を図るために不可欠です。妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を充実していくには、連携体制のさらなる強化が大切になります。 このことを踏まえて、3点にわたり伺います。 1点目は、ゆりかご・しんじゅく事業についてです。 新宿区では、平成27年10月から保健師等の看護職による妊婦との「ゆりかご・しんじゅく面談」を実施されています。事業開始から5年が経過した現在の面談の実績と本事業の評価について伺います。また、令和2年度からは、新たに多言語対応による通訳派遣が予定されています。面接を行うに当たり、通訳派遣のニーズをどのようにお考えか伺います。 2点目は、すくすく赤ちゃん訪問支援の充実についてです。 産後は、心身ともに不調を感じやすい時期です。区は、産後の乳児がいる家庭を助産師等が訪問する「すくすく赤ちゃん訪問」を行っています。令和2年度予算案では、本事業の中で新たに産婦に対するスクリーニングの実施が挙げられています。このスクリーニングの目的と期待される効果について伺います。 3点目は、母子保健部門と子育て支援部門の連携体制のさらなる強化についてです。 出産・子育てに関わる不安やリスクはいつでも生じる可能性があり、リスクの把握だけではなく、予防的な関わりも大切です。 このような視点から、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を包括的に行うための母子保健部門と子育て支援部門の連携体制のさらなる強化が必要と考えますが、どのように進めていくかお考えを伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 妊娠期からの子育て支援についてのお尋ねです。 初めに、「ゆりかご・しんじゅく」の面談の実績と評価についてです。 昨年度、「ゆりかご・しんじゅく」では、全妊婦の91.8%と面談を実施しており、今年度は特別出張所で妊娠届を出された方に対し、面談のお知らせチラシの渡し方を工夫することで、さらなる面談率の向上を目指しています。面談の結果、継続的な支援が必要な妊婦について全員と連絡を取り、状況を把握するなどの支援を続けており、安心して出産を迎え、その後の子育て支援にもつながっていると考えています。 また、日本語での対応が難しい妊婦については、妊娠・出産に関わる専門的な内容のため、タブレット端末でのテレビ通訳システムでは十分な情報提供やアセスメントが難しい場合もありました。そのため、医療分野にも精通した通訳派遣の導入を予定しており、こうした取組により文化や習慣が異なる方にも安全な出産や健やかな育児が行えるよう継続的な支援が可能になると考えています。 次に、すくすく赤ちゃん訪問での産婦に対するスクリーニングの実施についてです。 生後4か月の時期に行う「すくすく赤ちゃん訪問事業」では、産婦の健康状態の確認や乳児の発育、栄養、疾病予防等について助言し、安心して育児に臨むことができるよう支援しています。 御指摘のとおり、産後は心身ともに不安定になりやすいため、産婦の状況を包括的に判断することを目的として3種類の質問票によるスクリーニングの導入を予定しています。 これらのツールの活用により、産後鬱や虐待のリスクを把握することや、産婦自身の気づきから予防的視点での対応を図ることなど、より効果的な相談・支援を期待しています。 次に、母子保健部門と子育て支援部門の連携強化についてです。 区では、ゆりかご・しんじゅく面談等の機会に、妊婦のリスクの程度にかかわらず、産前産後に利用できる母子保健と子育て支援の両部門のサービスをその方の状況に合わせて丁寧に紹介してきました。 今後、妊産婦を支える両部門の連携体制の一層の強化を図ることを目的として、母子保健部門の窓口である保健センターと健康づくり課に「母子健康包括支援センター」を設置するとともに、「新宿区子ども家庭・若者サポートネットワーク」に子育て世代を包括的に支援するための新たな部会を立ち上げるなどの準備を進めたいと考えています。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第6は、特定不妊治療及び不育症等に対する区民への支援について質問いたします。 不妊症は、晩婚や晩産化が進む近年では、深刻な問題になっています。 日本産科婦人科学会の調査によりますと、2016年には全国民のうち不妊症で悩んでいる方は45万件と、10年前よりも3.2倍多くなり、現在は10組のうち1組が悩んでいます。 また、その調査によると、「不妊に悩んでいるが治療したことがない」という人の理由としては、「経済的な負担が心配」が34%でトップになっています。 私どもの元に不妊治療の御相談を頂いたり、また不妊治療によりやっと妊娠し出産することができ、我が子の笑顔に感謝の心で子育てをされている御夫婦の体験談も伺ったりしております。 不妊治療は身体的にも、精神的にも、また経済的にもとても大きな悩みとなります。当人の話によりますと、治療の結果は常に期待と不安が伴い、「妊娠に至らなかったら谷底に突き落とされるつらさでやりきれません」ともおっしゃっていました。 また、妊娠はするけれども流産、死産などを2回以上経験した場合は「不育症」と表現されており、厚生労働科学研究班の発表では、不育症例のうち約2~3割程度の方は不妊症も併せ持っているそうです。 以上述べましたことを踏まえて1点目の質問は、新宿区女性の健康支援センターにおける女性の産婦人科医師による女性の健康専門相談の実績と効果について伺いたいと思います。 また、その際に不妊症・不育症の周知や情報提供はどのようにされているのか区の現状を伺います。 2点目の質問は、特定不妊治療助成制度について伺います。 東京都では、高額な治療費がかかる特定不妊治療について医療保険が適用されない治療費の全部、または一部を助成しています。現在のところ、東京23区のうち14区で上乗せをする形として特定不妊治療助成を行っております。 そこで、2018年度には新宿区民で東京都特定不妊治療の助成を申請された方は延べ348件となり、年々増えてきています。 また、妊娠しても流産を繰り返す不育症については、リスク因子を特定し、適切な治療及び出産につなげるための検査に必要な経費の一部を東京都が助成する不育症検査の助成が2020年1月から受付開始となりました。 区民のうち、子どもを出産して育てていきたいと望む方に対して特定不妊治療の助成を区としても行っていただきたいとの声を耳にしております。新宿区としても厳しい財政でありますが、特定不妊治療助成の取組の推進はぜひとも必要な事業と考えますが、区の御所見を伺います。 3点目の質問は、女性特有の健康課題を学ぶチャンスをより多く設けることについて伺います。 新宿区では、女性の健康づくりの支援のため「女性の健康ハンドブック」を発刊しております。「とても良い冊子で見やすい」、「認識を改めました」という話を伺っています。 そこで、日常生活の中でよりよく「女性の健康ハンドブック」の内容を活用できるよう、スマートフォンで見ることができる女性のための健康づくりアプリケーションを提案させていただきます。 自分の体調の変化や女性特有の健康課題など、見たいとき、知りたいときにアプリケーションを開いて多くの情報を知ることができます。また、このアプリからの情報により、不妊症、不育症ではないかと悩み思いとどまる背中を、女性の健康に関しての専門相談へと導くことができると思います。その結果、女性の健康支援の充実につながると考えますが、区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 特定不妊治療及び不育症等に対する区民への支援についてのお尋ねです。 初めに、女性の健康専門相談の実績、効果と、そこでの不妊症・不育症の周知、情報提供についてです。 女性の健康専門相談は毎月2回実施し、昨年度は50名の方から相談をお受けしています。また、相談後のアンケート調査によれば、利用者の満足度は95%以上と高く、「相談して不安が解消された」などの声を頂いています。 また、女性の健康専門相談の際に不妊や不育症の相談があった場合には、医療機関の紹介や治療等について丁寧に説明をしています。 今後とも不妊症・不育症の相談について、女性の健康専門相談などでお受けしていることをホームページやリーフレットなどを活用し、様々な機会を通じて周知していきます。 次に、特定不妊治療に対する助成についてです。 現在、都では不妊検査や不育症検査とともに特定不妊治療に対する助成事業を実施し、経済的な負担軽減が図られています。 区では、妊娠を望む方が都の制度を利用できるよう、都の案内冊子を保健センターと健康づくり課の窓口で配布するとともに、女性の健康支援センターや保健センターで妊娠・出産・不妊・不育等に関する相談をお受けしています。 今後も区は、都の助成制度の御案内に併せ、子どもを望む方の悩みに寄り添い、精神的な側面からの支援に努めてまいります。 次に、女性の健康ハンドブックの内容を掲載した女性のための健康づくりアプリケーションについてです。 女性の健康ハンドブックは、女性の健康支援センターの来所者や「女性のための健康セミナー」受講者などにお渡しするほか、保健センターや特別出張所、図書館などでも配布しています。 アプリケーションについては課題もあり、研究が必要と考えています。そのため、ホームページを活用し、スマートフォンなどから女性の健康ハンドブックの内容をより多くの人が見られるようにし、利便性の向上を図っていきます。 今後このような取組により、女性特有の健康課題を学ぶ機会を広げ、女性の健康支援の充実につなげていきます。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第7は、安心できる子育て環境の整備について質問いたします。 新宿区がこれまで待機児童の解消を目指し、保育環境の整備を最重点課題として果敢に取り組まれてこられたことに対して、私どもは高く評価をいたしています。 しかし、昨年10月より幼児教育・保育の無償化が始まり、近年は女性の働き方も変化してまいりました。今後も保育ニーズの増加が想定されますので、引き続き待機児童の解消は課題であります。それとともに喫緊の課題となっているのが小学生の放課後の子どもの居場所の整備と運営の充実が挙げられます。 区は、放課後の子どもの居場所を多様なニーズに対応できるよう様々な御尽力をされています。その結果、小学校で実施する学童保育では、最長午後7時まで預かるようにすることなどが評価されて、「共働き子育てしやすい街ランキング2019」で新宿区が第3位となったことは、区民の皆さんや職員とともに喜び合いたいと思います。 そこで、安心できる子育て環境の整備について3点伺います。 1点目は、今後の子どもの居場所づくりについて伺います。 近年の核家族化や女性の社会進出、またひとり親の増加を鑑みますと、特に学童クラブの需要がこれからも増加する状況になると考えられます。 新宿区における平成31年度の学童クラブの状況は、定員1,610人に対して利用人数は約1割オーバーの1,868人と伺っております。 また、今後の見込みとして令和2年度の1,947人から令和6年度は2,352人と予測されています。 このことからも、需要の高い学童クラブの整備は最重点課題だと思います。 そこで伺います。 令和2年度の申請状況と今後の区の具体的な対策についての見解をお示し願います。 2点目は、学童クラブに対して民間サービスを活用することによる多様なニーズへの対応について伺います。 私の周りの保護者10名ぐらいに聞いたところ、「子どもは、「高学年になると学童クラブが楽しくないので行きたくない」と言っている。しかし、夜遅くまで独りで留守番させることは心配だ。高学年に対してのプログラムの工夫をしたら、楽しく過ごせる居場所になるのではないか」、また別の方は「高学年になると学童を辞めて習い事に通い始めるが、その帰り道やその後の留守番が心配だ」という声を耳にしました。 子どもが自分らしく成長するためには、子どもの目線で放課後を楽しく過ごすことができる環境や保護者の目線で安心して子育てできる環境整備は重要です。 また、先日、委員会視察で東五軒町学童クラブに伺いました。その視察を通じて、区の学童クラブは定員拡大を進めたいものの、スペースに余裕がなく、高学年のプログラムの工夫は難しいと感じました。また、この地域では、さらに時間延長が必要な家庭が多く、区の学童クラブが終わってから民間の学童クラブを併用している子どもが多いとのことでした。 ある自治体では、区民の多様なニーズに応えるため、駅前や長時間受入れ可能なところ、また理科の実験や工作などの体験を通じて子どもの可能性を伸ばすことに特化した学習塾が経営する民間学童クラブ等に対して運営費等の一部を助成している子育て支援事業を行っています。 新宿区でも、今後、定員確保や多様なニーズ、子どもの目線からの声に応えるために区が示している民間学童クラブの誘致は必要不可欠であります。そして、誘致の際に運営費等に対して区が助成することは大変有効的であると考えますが、区の見解をお示し願います。 3点目は、放課後子どもひろばや学童クラブの安全対策について伺います。 昨今、いつ地震や火災が発生するか分からない状況の中、スムーズに避難できることは子どもの命を守る上で非常に重要です。 現在もマニュアル化やタイムライン化をして避難訓練は行っていると思いますが、定員拡充に伴い、さらに徹底した避難訓練の実施や検証をすることが必要だと考えます。区の見解をお示し願います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 安心できる子育て環境の整備についてのお尋ねです。 初めに、令和2年度の申請状況と今後の区の対応についてです。 学童クラブの申請児童数は、令和元年12月13日時点で1,628名でした。昨年度の同時期における1,621名とほぼ同数となっており、今年4月1日の登録児童数は昨年度の1,759名に近い数字になるものと見込んでいます。 区は、こうした学童クラブの需要に対応するため、令和2年度当初に本塩町、榎町、落合第一小学校内及び落合第四小学校内の定員を合わせて135名分拡大します。さらに、令和2年度中に鶴巻小学校内に学童クラブを新規開設するとともに、東戸山小学校内の学童クラブスペースを拡充し、合わせて60名分の定員を増やします。 次に、民間サービスを活用することによる多様なニーズへの対応についてです。 現在区は、3か所の民間学童クラブに対し運営費や施設賃借料等の助成を行っています。これらの学童クラブでは、夜間の事業実施や保育園との密な連携など民間のノウハウを活かした自主的な取組が行われています。今後は、多様な区民ニーズへの対応や学童クラブの待機児童解消のために、新たな民間学童クラブの誘致に向け事業者ヒアリングなど積極的に実施していきます。 続いて、放課後子どもひろばや学童クラブの安全対策についてです。 多くの子どもが放課後を過ごす場所の安全対策を徹底することは非常に重要なことと認識しています。 このため、国の示す放課後児童クラブ運営指針では、少なくとも年2回以上の訓練が求められているところ、放課後子どもひろばや区立学童クラブではおおむね月1回の訓練を実施しています。内容についても、事業者が火災・地震・不審者対応など様々な場面を想定し実施しています。 あわせて、訓練結果の検証についても、事業者が次の訓練に活かすための振り返りを自ら行うとともに、警察や消防署の立会いの際には講評結果を反映させるなど、区からも事業者に助言を行っています。 今後も、より効果的な訓練となるよう、区も事業者とともに安全対策の徹底に努めてまいります。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第8は、住まいの安定確保について質問いたします。 高齢化や単身化が進行する社会構造の中にあって、多世代が安心して暮らせる住環境の整備や安定確保が求められています。 新宿区は、これまで中堅所得者層の子育て世帯を支援する特定住宅への入居策の拡充を初め、多世代にわたる住宅の支援として、多世代近居同居助成、次世代育成転居助成、住み替え居住継続支援、民間賃貸住宅家賃助成、家賃等債務保証料助成など多岐にわたる事業を実施し、23区の中でも先駆的に取り組まれてきました。 1点目の質問は、今後ますます少子高齢化が進展していく社会状況を迎えていく中にあって、「多様性のある街・新宿」の住まいの安定確保について区長はどのような認識を持って取り組まれていかれるのかお考えをお聞かせください。 2点目の質問は、区立住宅の今後についてです。 住まいの安定確保を推進していく上においては、区立住宅は重要な役割を担っています。中でも、中堅所得者層の子育てファミリー世帯への支援を目的とする特定住宅については、これまで入居促進策を実施し、一定の効果を上げてきました。しかし、現在、この特定住宅は32棟、368戸管理されており、その用途は15年としていますが、そのうち借り上げ型27棟、325戸は用途終了時にはオーナーへ返還する予定となっております。また、借り上げ型特定住宅27棟のうち22棟、227戸の区営住宅分が合築しているので、事業終了後に区営227戸の確保が課題となっており、2027年から徐々に返還が始まると聞いております。 この区営住宅227戸の事業終了後の確保について早期に検討すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 3点目の質問は、高齢者等の住まいの安定確保についてです。 来年度予算案では、民間賃貸住宅への入居困難な高齢者等の入居支援として、これまで行ってきた一定の要件を満たす世帯に対する入居時における家賃等債務保証料の一部を助成する件数を35件から50件へ拡充、また初回のみの保証料助成を継続保証料として初回から10年目までに拡充、さらに新規事業として入居受入時に伴う家主の不安を軽減するため、入居者の死亡発生時の費用を補償する保険料の一部助成などを計上されています。 これまで私ども会派としても、「高齢単身者の方が亡くなられた際に、家財、残置物の整理や葬儀などで大変な経験をしたオーナーが高齢者に家を貸したがらない現状があるので、家主が高齢者等に貸しやすい仕組みをつくるべき」と提案してきました。その結果、死亡発生時の費用を補償する保険料の一部助成を実施されることについて高く評価をいたしています。 その上で、この新規事業について関係者への周知・広報を初め、具体的にどのように取り組まれていくのかお聞かせください。 また、家主に高齢単身者の入居についてさらなる安心感を持っていただくための施策が必要であると考えます。地域の不動産屋から伺うと、家主が高齢単身者の入居を拒む理由として、死亡時の室内の整理などのほかに、孤独死などにより長期間にわたり室内が使用できなくなることも大きな理由の一つであるとのことです。 そこで、新規事業の死亡保険に加え、高齢単身者へ既存の見守りの制度を活用し、入居時に関係者へ周知を徹底することなど、日常の安否確認の利用促進が必要と考えますが、考えをお聞かせください。 4点目の質問は、居住支援協議会についてです。 居住支援協議会は、高齢者などの住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう支援する団体です。区は、2月4日に設立し、過日の環境建設委員会において、その取組状況についての報告がありました。改めて、現時点での取組状況をお聞かせください。また、協議会を実行計画に位置づけられましたが、その考えをお聞かせください。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 住まいの安定確保についてのお尋ねです。 初めに、今後の新宿の住まいの安定確保に対する認識についてです。 新宿区は、商業・業務・文化・居住等多様な機能が集積し、国内外の様々な人が暮らしています。誰もが安全で安心して生活を送るためには、暮らしを支える住まいの確保が何よりも欠かせません。 区は、子ども、障害者、高齢者、外国人等全ての人がそれぞれのニーズに即した住宅に住み続けることができる住宅施策を進めてまいります。 次に、区立住宅の今後についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、特定住宅は全32棟、368戸を管理しており、そのうち所有型が5棟、43戸で、借り上げ型が27棟、325戸となっています。借り上げ型については、特定住宅単独が5棟、44戸あります。区営住宅との合築は22棟で、そのうち特定住宅が281戸、区営住宅が227戸となっています。 特定住宅については、管理開始から15年を経過したものから順次廃止し、借り上げ型についてはオーナーに返還していきます。 こうした区営住宅の確保については、住戸の規模や返還時期の差異などを踏まえた受皿となる住宅の用意とともに、入居者や借り上げ住宅のオーナーの意向など、様々な課題について検討する必要があります。このため、令和9年から始まる返還に向け、現在これらの課題を整理しているところです。 次に、高齢者等の住まいの安定確保についてのお尋ねです。 御指摘の新規事業である入居者の死亡発生時の保険料助成は、民間賃貸住宅に入居する60歳以上の高齢単身者が居室内で死亡した場合に、残存家財整理費用等を補償する保険料の一部について、10年間を限度に助成するものです。 本事業の具体的な取組については、区が週2回行っている住み替え相談において、相談員が入居者と家主の双方をあっせんする際に、入居者には家賃等債務保証料助成を、家主には入居者死亡保険料助成の利用を促していきます。 また、75歳以上の独り暮らしの方を訪問し、情報紙を配布しながら様子を確認する見守り事業など、様々なサービスについても入居者と家主の双方に案内していきます。 新規事業を含めたこうした取組の周知については、広報新宿、ホームページへの掲載や啓発チラシの作成のほか、不動産関係団体や高齢者や障害者等を支援する福祉関係団体などに広く周知を行ってまいります。 次に、居住支援協議会についてのお尋ねです。 御指摘の居住支援協議会は、高齢者や障害者などの御自分だけでは民間賃貸住宅を見つけることが困難な住宅確保要配慮者の方々への支援策を協議し、民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、設立いたしました。 今年の2月4日に開催した第1回目の協議会では、各構成団体が入居支援に係る事業を紹介するとともに、入居者が希望する住宅が見つからない現状や家主が入居を断る心理的要因などについて様々な意見や提案がありました。 協議会において紹介された「ぬくもりだより」の訪問配布や家賃等債務保証料助成、入居者死亡保険料助成といった区の入居支援に係る事業の多くは実行計画事業であることから、居住支援協議会の運営についても実行計画に位置づけることにしました。 今後は、居住支援協議会での意見や提案も踏まえ、住宅確保要配慮者の方々の円滑な入居支援に取り組んでまいります。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第9は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーについて質問いたします。 世界最大のスポーツと平和の祭典である東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会での本番まで、残すところ5か月となりました。新宿区は、国立競技場の所在地であるホストシティとして、2016年に東京オリンピック・パラリンピック開催等担当課を設置し、担当課職員を初め、全庁を挙げて大会の成功に向けた環境整備や気運醸成を着実に進めておられます。 そこで1点目は、オリンピックレガシーについて伺います。 オリンピック憲章第1章第2項「IOCの使命と役割」には、「オリンピック競技大会の有益な遺産(レガシー)を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する」と記されています。新宿区におかれましても、大会開催後も多くの区民や子どもたちの記憶とともに、将来にわたって継承される心のレガシー創出に向けた取組を推進しておられます。 そこで提案ですが、東京2020大会は9月6日に幕を閉じ、1週間ほどで大会仕様の装飾等は解体されるとお聞きしています。メイン会場である国立競技場を擁する新宿区は、大会の熱気が冷めやらぬ大会仕様の装飾がされている期間に、より多くの新宿区民を対象にした競技場の内覧会の開催や、可能であれば一日貸し切り、実際に区民にスポーツを楽しんでもらうことができれば、生涯忘れることのないレガシーの創出になると考えます。この点について、区の見解をお聞かせください。 2点目は、新宿区が抱えるグラウンド問題の解決策について伺います。 新宿区は、スポーツを行うグラウンドが少ない自治体であり、サッカーのフルコートが取れるグラウンドもありません。また、戸山公園箱根山地区多目的運動広場については、引き続き区民が優先的に多目的運動場を使用できるように、整備を東京都へ要望しているさなかであります。整備工事が始まれば、相当の期間使用できないと伺っています。 そのようなことから、新宿区は子どもたちのスポーツ環境の充実を図るために、江戸川河川敷グラウンドの22コートと24コートの2面を年間1,000万円で借り上げました。しかし、現在の稼働率は約5割であり、対象であった少年野球と少年サッカーの利用は、距離や移動手段の兼ね合いで思うように進まない状態にあります。 そうした中、新宿区は平成30年新宿区スポーツ施設整備基金を設置し、東京2020大会を契機としたスポーツへの参加意欲を促進するとともに、大会後のレガシーとして引き継ぐため、スポーツ施設の整備を進めるとしています。 私は、スポーツを行うグラウンドが少ないという現在抱えている課題を大会を通して解決し、新宿のレガシーへと変革することが大切であると考えます。 そこで提案ですが、子どもたちが江戸川河川敷グラウンドをさらに利用できるように、移動手段の補助等を考えてはいかがでしょうか。 また、老朽化している落合グラウンドに関しても、戸山グラウンドの工事の際にさらに需要が増えることも考えられますので、大規模な改修工事を行ってはいかがでしょうか。 さらに、大会後は国立競技場で毎年行うハーフマラソンの日を一日借り切って新宿区のオリ・パラ大会のようなことを行うことはできないでしょうか。 これらの点について、区の見解をお聞きします。 3点目は、国際観光都市としてのレガシーについて伺います。 平成29年新宿観光振興協会が調査を実施した「新宿エリアにおける観光客等の属性・動線分析調査」の報告書を見ると、日本人観光客は新宿駅周辺にとどまらず区内全域に広がっているのに対し、外国人観光客は新宿駅周辺に偏っており、新宿区全体を回遊していないことがうかがえます。 そこで提案ですが、世界の旅行者が最も多く活用している検索エンジンの地図サービスがあります。そこでは、マイビジネスと言って、会社や飲食店の情報を多言語に変換し掲載するサービスを行っています。偏りがある地域を中心に、区と観光振興協会が連携し、まだ活用されていないところにこのようなサービスの周知を行ってはいかがでしょうか。 また、東京2020大会では、いまだかつてない多くの国内外の観光客が訪れます。この観光客が区内のどこに行き、何に感動し、大会期間に区内で偶発的に起こったレガシーはどのようなものだったのかを情報収集することは、「世界で1つだけの街」である新宿観光振興のレガシーとなると考えます。 これらの点について、区の見解をお聞かせください。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーについてのお尋ねです。 初めに、東京2020大会後の国立競技場で区民を対象とした内覧会などの機会をつくることが、生涯忘れることのないレガシーになるのではないかについてです。 国立競技場は昨年11月に竣工しましたが、現在も東京2020オリンピック・パラリンピックの仕様に改修する工事が続いており、国立競技場の中を見ることはほとんどできません。 さらに、今年6月~9月の間は大会運営に伴い、安全対策のため広範囲にフェンスが設置されます。 そのような状況の中でも、国立競技場の地元である新宿の区民の皆さんにとって東京2020オリンピック・パラリンピックが現実に地元で行われた大会であったと実感できることは非常に重要であると認識しています。大会閉幕後に大会の装飾が残る国立競技場に入り、その雰囲気を体感できる機会を設けることが区民の皆さんにとって大会を我が事として振り返り、国立競技場が地元にあることを誇りに思い、そのことを次世代に語り継いでいくことにつながるものと考えています。 このため、大会後に区民の皆さんが実際に競技が行われたスタジアムに入り、選手が躍動したフィールドに立つことができる機会をつくる等、御指摘の点も踏まえ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に要望してまいります。 次に、新宿区が抱えるグラウンド問題の解決策についてのお尋ねです。 初めに、江戸川河川敷グラウンドの利用状況、移動手段の補助等についてです。 江戸川河川敷グラウンドは、「新宿区スポーツ環境整備方針」に掲げる「ライフステージ等に応じたスポーツを楽しむ機会の創出」の実現に向けて区が借り上げているもので、令和元年6月より区民の皆様に貸出しを開始しております。 これまでの利用実績の多くは、区内の施設環境では練習や試合をするのが困難な少年硬式野球団体のチームによるものです。御指摘の少年野球や少年サッカーについては、移動時間の短さや慣れ親しんだ環境といった点から、学校施設の活用や戸山公園多目的運動広場等を御利用いただいており、江戸川河川敷グラウンドについては御利用がない状況です。 令和2年度には西戸山公園野球場の改修工事を予定していることから、3月に無料体験利用デーを実施し、これまで利用がない団体に試行的な利用を働きかけてまいります。 また、新宿区体育協会を通じて、自ら移動手段を持つ一般の野球・サッカーチームに江戸川河川敷グラウンドの積極的な利用を呼びかけることにより、少年野球・少年サッカーチームの区内の施設の利用を促してまいります。 次に、落合グラウンドの整備についてです。 落合中央公園野球場は昭和47年に整備したものであり、利用者の方々から、マウンドや照明設備の老朽化、サッカーグラウンドとしてのサイズの不十分さ等の声を頂いております。 整備に当たっては地下施設を所管する東京都下水道局との協議が必要であり、他の屋外スポーツ施設の改修、利用者の便宜を踏まえた上で改修の考え方を整理してまいります。 次に、大会後に国立競技場でスポーツイベントを行えるよう交渉すべきとの御意見についてです。 新宿シティハーフマラソン・区民健康マラソンを国立競技場で実施することについては、区としても強い思いを持っています。実現できた際には、ランナーだけでなく多くの区民がスポーツ等に親しみ、一日を楽しめる機会を創出できるよう、区民及び区内関係者等で構成する実行委員会とともに検討を行ってまいります。 次に、国際観光都市としてのレガシーについてです。 御指摘のとおり、「新宿エリアにおける観光客等の属性・動線分析調査」の結果では、外国人観光客が新宿駅周辺を中心とした観光をしていることが読み取れますが、新宿区内には新宿駅周辺以外にも魅力的な個性を持った地域があります。現在も個々の地域を外国人観光客に回遊していただくため、地域の情報をしっかりと把握し、新宿観光振興協会のホームページやSNSによる情報発信を行っています。 今後は、御案内いただいたウェブサービスやスマートフォンアプリ、小型通訳機などのデジタルツールが開発・改良されている状況を踏まえ、先進事例を収集するとともに、新宿観光振興協会と連携してデジタルツールの活用方法について研究してまいります。 また、東京2020オリンピック・パラリンピックでは様々な国や地域から多くの観光客が新宿を訪れますが、私たちが思いもかけないものに興味を持たれたり感動されたりすることは少なくないと考えています。 今後は、国や東京都などの調査やウェブ上の情報などを注視し、そのような情報を「偶発的なレガシー」として把握し、「賑わい都市・新宿の創造」に活かしてまいります。 ◆3番(三沢ひで子) 質問の第10は、教育環境の整備・充実について質問いたします。 新宿区は、就学前及び9年間の義務教育を通した、より質の高い、地域に開かれた教育を推進するために、子ども一人ひとりの能力を伸ばす「生きる力」を育む質の高い学校教育の実現に取り組んでいます。質の高い学校教育を実現するため、教育環境の整備・充実について、以下質問に入ります。 最初に、児童・生徒の命を守る通学路等の安全対策について2点伺います。 1点目は、学童擁護の体制の充実についてです。 令和元年5月8日、滋賀県大津市の県道交差点で車同士が追突し、信号待ちをしていた保育園児らの列に車が突っ込み、園児ら16人が死傷する事故が発生しました。これまでも児童や生徒が巻き込まれる悲惨な事件や事故が後を絶ちません。区は、来年度に学童擁護員の配置を69か所から74か所に増やす計画ですが、増分の5か所はどのような考え方で選定されたのでしょうか。また、交通安全の視点から、地域や保護者と連携した取組状況についても伺います。 2点目は、防犯カメラの設置について伺います。 これまで教育委員会では小学校の通学路に防犯カメラを設置し、登下校時に安全対策に取り組んでおられます。防犯カメラの設置による効果をどのように評価されていますか。また、子どもの安全対策として、通学路だけでなく休日や放課後、保育園の園外保育などで多くの子どもたちが利用する児童遊園等の区立公園についても優先度を考慮しながら防犯カメラの設置を推進すべきと考えますが、区のお考えを伺います。 次に、公私立幼稚園における幼児教育等の推進について2点伺います。 1点目は、区立幼稚園への支援充実についてです。 来年度の予算案には、新たに区立幼稚園全園での体操やリトミックなどのプログラム実施が計画されています。既に実施している区立幼稚園がありますが、全園での実施については、一律のプログラムを導入するのではなく、各園の現状を踏まえて進める必要があると思います。現時点での課題認識と実施に向けた具体的な対応策について伺います。 2点目は、私立幼稚園への支援充実についてです。 来年度予算案には、私立幼稚園の健康管理や安全・安心などの助成を拡充することとしています。その中に、新たに「園庭遊具更新等経費助成」があります。遊具の選定については各園で進めることになりますが、最新の遊具などの情報も含めて、情報の共有を図ることが重要であると考えます。 また、遊具等の使用に関する安全対策の取組などの情報共有も大切です。この点、区のお考えを伺います。 次に、ICTを活用した算数・数学の教育と多様な教育機会の推進について2点伺います。 1点目は、全小学校への算数の指導用デジタル教材の導入とICT支援員2人の新たな配置についてです。 指導用デジタル教材を導入することにより、算数の図形や数量への理解を深めるなどの効果があると聞いております。具体的な活用とICT支援員の役割についてどのようにお考えか、伺います。 2点目は、数学オリンピック等の周知促進についてです。 算数・数学の学習については、学校での授業や塾等での学習のほか、算数や数学オリンピックなど学習する機会が多様化しています。児童・生徒が算数や数学に興味を持ち、積極的に学習ができるようにすることが大事であります。 公益財団法人数学オリンピック財団が開催している「日本ジュニア数学オリンピック」や一般財団法人算数オリンピック委員会が開催する「算数オリンピック」などの情報を提供することで、国際数学オリンピック等にも挑戦できるような学習環境の整備が進みます。区のお考えを伺います。 最後に、児童・生徒の不登校対策についてです。 前回、第4回定例会の代表質問で、不登校の児童・生徒の居場所づくりについて質問しました。区は、新たな居場所づくりとして、図書館等を活用したアウトリーチによる支援の在り方を検討する旨の答弁がありました。 居場所については、安心して利用できる環境の整備とともに、児童・生徒の自立を目指せるような支援体制の構築が大切です。具体的な取組についての検討状況を伺います。 また、実施に当たっては、児童・生徒や保護者等への居場所についての丁寧な説明が必要です。併せてお考えを伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 児童遊園等の区立公園における防犯カメラの設置についてのお尋ねです。 児童遊園等の区立公園における防犯カメラについては、犯罪や迷惑行為の発生があるなどの要件を満たす公園を対象に、これまで9園で18台設置してきました。 今後も子どもに対する犯罪の防止を優先し、地域や警察及び教育委員会等と連携しながら、必要がある箇所については、防犯カメラの設置を検討してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 教育環境の整備・充実についてのお尋ねです。 初めに、学童擁護員の配置を増やす5か所がどのような考え方で選定されたのかについてです。 教育委員会では、現在児童が安全に登下校できるよう、小学校の通学路に児童への声かけや見守りを行う学童擁護員を1校当たり2名程度、計69名配置しています。 御指摘の滋賀県大津市での事故などを契機に、教育委員会では、登下校時の児童のさらなる安全のため、学童擁護員の追加配置について全小学校に希望調査を行うとともに、希望のあった地点の現地調査を行いました。この結果、ガードレールの有無や歩道の幅員などの道路環境、その道を利用する児童数などの状況を踏まえ、新たに学童擁護員の配置が必要な5か所を増分として選定したものです。 次に、交通安全の視点から、地域や保護者と連携した取組の状況についてです。 区では、全国で登下校中の子どもが巻き込まれる車の事故が相次いだことを踏まえ、平成26年8月に「新宿区通学路交通安全プログラム」を策定し、地域や保護者、警察、道路管理者などとともに、通学路の定期的な交通安全総点検に取り組んでいます。 こうした点検の結果、対応が必要な箇所へは、ガードパイプやポストコーンの設置、カラー舗装など、交通事故から子どもたちを守るための安全対策を講じています。 また、このほか日常的に地域の方やPTAの御協力による通学路の見守りなども行っています。 今後も地域や保護者との連携を図りながら、児童・生徒の安全確保に取り組んでまいります。 次に、通学路防犯カメラの設置による効果をどのように評価しているのかについてのお尋ねです。 現在、区立小学校29校の通学路には、1校当たり5台程度、計167台の防犯カメラを設置しています。 教育委員会では、防犯カメラの設置により通学路上における犯罪への一定の抑止力があると捉えています。 また、防犯カメラを設置している電柱には、防犯カメラが稼働していることを周囲に分かるように周知用の看板を併せて設置しており、犯罪を未然に防止する抑止効果がさらに高まっているものと考えています。 次に、区立幼稚園への支援充実のためのプログラム全園実施に当たっての課題認識と具体的な対応策についてです。 お尋ねのプログラムは教育時間外に行うもので、委託による事業の実施であることなどから、全園実施に当たっては各園で編成する教育課程との十分な調整を行い、区立幼稚園で取り組む幼児教育の充実につなげることが重要と考えています。 このため、事業実施に当たっては全園一律の内容とせず、実施日程、参加する園児の学年及び具体的なプログラムなど、各園の希望に沿って柔軟に対応してまいります。 次に、園庭遊具更新等経費の助成実施に当たっての遊具に関する私立幼稚園との情報共有についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、最新の安全基準に対応した遊具や区で実施している遊具等の安全対策について情報提供を行うことにより、安全な幼児教育環境の整備がさらに進むものと認識しています。 今後は、新たな助成制度についての説明会など機会を捉え、情報を共有してまいります。 次に、全小学校への算数のデジタル教材の導入とICT支援員の新たな配置についてのお尋ねです。 新たに導入する算数のデジタル教材は、令和2年度から小学校で使用する教科書に準拠しており、学習内容に即したコンテンツが収録されています。 例えば、平行四辺形を長方形に変えて面積を求める方法や円周の長さの求め方をアニメーションで学ぶことができます。また、グラフや動画を表示したり、立体図形を展開したりするなどの様々な機能を活用することで児童の関心や意欲を引き出し、図形や数量への理解を深めることが期待できるものと考えています。 今後は、児童が楽しく学びながら学習内容の定着や深い理解を図れるよう、全ての学年の算数の授業でデジタル教材を活用していきます。 また、ICT支援員については、授業での児童・生徒に対するタブレットPCの操作支援や教員に対する教材作成、授業補助などの支援を行っているところです。令和2年度からの新学習指導要領の実施に伴い、プログラミング教育などの新たな教育課題に対応するため、新たにICT支援員を2名増員し、支援体制の充実を図る予定です。 算数のデジタル教材の効果的な活用に当たっても、今後はICT支援員のサポートなどを通して、教員の不安や負担の軽減を図りながら児童の深い学びの実現に向けた取組を進めてまいります。 次に、数学オリンピックなどの周知促進についてのお尋ねです。 「日本ジュニア数学オリンピック」や「算数オリンピック」は、若い世代の数学的な才能の発掘・育成を目指す目的で開催されており、算数や数学に対する興味・関心を高め、深い学びにつながる機会になるものと認識しています。 中学校においては、実用数学技能検定の受験に取り組んでいる学校もあり、今後は、数学オリンピックなどについても、各学校を通して児童・生徒に情報提供してまいります。 次に、児童・生徒の不登校対策についてのお尋ねです。 教育委員会では、不登校の児童・生徒の新たな居場所づくりとして、図書館などを活用したアウトリーチによる支援の在り方について検討を行い、令和2年度から西落合図書館の会議室をつくし教室の分室として、月2回程度開室できるよう準備を進めています。この分室には、つくし教室から指導員を2名派遣し、個別の学習活動や小集団活動を行う予定です。 また、読書活動や調べ学習など、図書館の機能を活かした活動を積極的に取り入れることで、児童・生徒が安心して過ごせる居場所となるよう環境整備及び支援体制の構築を進めてまいります。 なお、児童・生徒や保護者などへの説明については、4月中に学校を通じて全児童・生徒、保護者に案内チラシを配布し、つくし教室や分室の開設を周知する予定です。また、児童・生徒の個々の状態に応じた働きかけができるよう、校長会や生活指導主任会、スクールカウンセラー連絡会など様々な機会を通じて丁寧な説明を行ってまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆3番(三沢ひで子) 大変丁寧な御答弁を区長並びに教育委員会より頂き、ありがとうございました。 以上をもちまして、新宿区議会公明党の代表質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 本日の代表質問は終了しました。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 次に、日程第2を議題とします。     〔次長議題朗読〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △第32号議案 公の施設の指定管理者の指定について     〔巻末議案の部参照〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(吉住はるお) 提出者の説明を求めます。     〔吉住健一区長登壇〕 ◎区長(吉住健一) ただいま上程されました第32号議案の公の施設の指定管理者の指定について御説明いたします。 本案は、新宿区立四谷スポーツスクエアの指定管理者の指定を行うものです。 御審議の上、御賛同いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(吉住はるお) 説明は終わりました。 ただいま議題となっています第32号議案は、お手元に配付しました議案付託表のとおり、総務区民委員会に付託します。     〔巻末議案付託表の部参照〕--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は2月20日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。 △散会 午後4時35分                  議長    吉住はるお                  議員    永原たかやす                  議員    有馬としろう...